0時を過ぎたシンデレラ
くにすらのに
第1話 二人のシンデレラ
私とお姉ちゃんの
十二月二十五日の二十三時五十九分。ギリギリだけど聖なるクリスマスの夜に生まれたお姉ちゃん。私はその二分後、二十六日の〇時一分に生まれたました。
クリスマス生まれはちょっと羨ましかったけど、二日連続で誕生パーティーをやれる方が断然嬉しかったです。だけど、シンデレラの絵本を読んでもらってからは自分の誕生日が、正確には生まれた時間が嫌いになってしまいました。
〇時を知らせる鐘が鳴るとシンデレラの魔法は解けてしまったのです。
お姉ちゃんにはシンデレラの魔法が掛かってるけど、私は魔法が解けた普通の女の子。今思い返せば子供の妄想なんですけど、この考えは私の心と体にしっかりと染みついてしまっています。
勉強も運動もできて、いつも友達に囲まれているお姉ちゃん。
いつも一人で本を読む私。
仲は悪くない。むしろ双子らしく仲は良いし、自慢のお姉ちゃんです。
双子なのにこんなに差が付いているのはシンデレラの魔法のせい。バカげた妄想とわかっていても、この妄想が心の
***
ウチと妹の
勉強も運動も、透子よりできればそれで良い。だけど、ウチの努力は自分が思っていた以上の結果をくれた。
透子はウチを魔法が掛かったシンデレラだと思ってるみたい。もしかしたらウチには魔法が掛かってて、それで努力以上の結果が付いてきてくれてるのかもしれない。だけど、ウチらは同じ双子。きっと透子にだって同じ力がある。
それにもしシンデレラなら、本当に幸せを掴むのは魔法が解けた後、〇時を過ぎてからのシンデレラじゃん。
おとぎ話を真に受けるなんてバカバカしいと自分でも思ってる。だけど、それならウチは魔法が掛かってるたくさん努力して、この魔法の効果が失われた後に努力の結果が残っていないと幸せになれない。
透子は私を尊敬してくれるし、ウチも透子が自分の魅力に気付いて幸せになってほしいと願ってる。
だから神様。もし透子の幸せが約束されているのなら、ウチの魔法を解かないで。いつまでも魔法の掛かったシンデレラでいさせてください。
シンデレラの魔法だけがウチの心と努力を支えてくれていた。
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