第48話 止時

 いつからだろう笑っていない。

 いつからだろう自分の声を聴いていない。


 たまに話そうとすると声が出ない。

 話し方を忘れたように…。


 だけど涙だけは枯れない。

 もう…枯れてもいいほど泣いたのに…。


 悲しくて、悔しくて…切なくて…

 涙は誰のために流れるの?

 自分のため?


 もう…これ以上…

 時に置いていって、と願っても…


 ここに留まれば…これ以上は…


 悪夢でいい…もう目覚めなくていい。

 冷たいままの部屋で今日も眠る。

「2度と目覚めませんように…」


 冷たいままでいい…永遠の悪夢でいい…


 時と歩くには…僕の心は遅すぎて…

 留まることすら出来ぬままに歩を進めるには…何かを捨てなければ重すぎて…


 それでも…捨てれないままの何かに縋るように…祈るように…。

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