知らない町

勝利だギューちゃん

第1話

気がついたら、知らない町を歩いていた。

本当に初めてだ。

記憶にはない。


♪知らない町を歩いてみたい~


という、フレーズの曲がある。


いつか自分も、この歌詞のように、

どこか遠くの町へ、行きたいと思っていた。

そう、いつか・・・


でも、気がついたら、今いる場所にいた。

どうして、ここにいるのか、紛れ込んだのか、

全く記憶にない。


「よくある、夢か?」

そう思った。

でも、夢ではないようだ・・・


本当に紛れ込んでしまった。


辺りを見る。

日本国内では、間違いないようだ・・・


≪いつかじゃなく、今叶えなさい≫

どこからか、声がした。


≪いつかと、思っていたら、あっというまに、歳を取るわよ。

そしたらもう、手遅れなんだから・・・≫

「君は誰だ?」

≪私、私は女神、あなたの願いを叶えてあげた≫

「僕の願い?」

≪知らない町を歩いてみたい、遠くへ行きたい≫

「確かに、願いだったけど・・」

≪その願いを叶えたの≫

「いきなりですか?」

≪ええ、そのほうが、刺激的でしょ?≫

「で、ここはどこですか?」

≪子供じゃないんだから、自分で確かめなさい。ではまたね≫


交信が途絶えた。


女神という声の主は言ってた。

自分で確かめろと・・・


仕方ないので、この町の人に尋ねてみた。


何人かに尋ねた。

でも、答えは違っていた。


日本であることには、間違いない。

でも、それぞれが違う場所を言う。


一体、ここはどこなんだ?


≪わからない?≫

先程の女神からの、交信があった。


「ええ」

≪だよね。ここは、ある種の相対性理論の町だから≫

「アインシュタインの?難しいですね」

何がいいたいんだ?


≪あなたが、好きな女の子と話していると、5時間でも5分にしか感じない≫

「確かに」

≪でも、嫌いな人と一緒だったら、5分でも5時間に感じる事があるね≫

「ええ、否定しません」


何が言いたいんだ?


≪あなたは、この町をどう思う?≫

「正直、たいくつですね」

≪そう、感じるのは、あなたの毎日が、充実していたってこと≫

「そうですか・・・」

≪だから、あなたの願いは、わがままといううもの・・・≫


返す言葉がなかった。


≪当たり前の日常も、いつ崩れるかわからない。

だから、あなたは好きに生きなさい≫

「でも・・・」

≪とにかく、前を向く。人生を悔やむのは、臨終する前の5分だけにしなさい≫


気がつくと、僕は部屋の机をマクラに寝ていた。


「夢?」


辺りを見回す・・・

何も変わらない・・・


当たり前の日常は、いつ崩れるかわからない。

ならば、他人や世間が何んと言おうが、自分の道を進もう。


≪見守ってるよ。あなたの事を・・・

だって私は、女神だけど、もともとは・・・≫

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知らない町 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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