私の気持ち、あなたの気持ち

第2話 中間

　しかし、【そういう風】に振る舞っていると、実際に【そうなる】と聞いた事がある。最近、私の携帯が鳴らなくなった。

　以前は通知や、ランチのお誘いなんかで鳴っていたのだが。

　そういえば最近、学校以外で誰とも会っていないな。

　少し気になり、ＳＮＳを見直してみた。私の投稿に、イイネはほとんど付いていない。

　足あと履歴を見たら、私の投稿を読んでいる人がかなり減っていた。どきん、と心臓付近から音がした。

　皆は最近、どうしているんだろう？　フレンドの近況を読んでみた。

　新しいＳＮＳが流行っていた。招待制ではなく、誰でも登録出来て、フレンドも勝手に追加出来るようだ。足あと機能が無いので気楽に使えるらしい。

　新しいＳＮＳでは、皆愉しそうだし仲良さそうに見えた。

　ＳＮＳ漬けが、正解だったのかな？　頭の隅で声が聞こえた。

　私は新しいＳＮＳを登録して、今までのフレンドを、フレンド追加にしていった。

　学校の宿題が残っていたけれど、こちらの方が、今やるべき事だと思った。

　新しいＳＮＳは短文投稿で、これが気軽に使える要因らしい。

　誰かが新しいお店でランチをしてきたと投稿していた。勿論写真付きで。

　これは良いきっかけになると思い「私もそのお店、行ってみたい」とコメントをした。

　けれどもコメントで行きたいって書くと、実際そのお店に行かなきゃならない気がする。なので今までは、簡単に書き込まないようにしていた。

　でも今までと同じ事をしていたら、また出遅れてしまうかもしれない。この間みたく、携帯が鳴らない日々が続くなんて嫌だな。

　少しの我慢で、付き合いを大事にしよう。そう思う事にした。

　先日のコメントに返信をもらい、例の新しいお店に、ランチに来た。メンバーは、ＳＮＳで交流のある女子四人。

　洋食も和食もあるお店で、シンプルなお皿に美味しそうな料理が並ぶ。カップもお洒落だ。

　皆で写真を撮りまくっていた。私は湯気が上がっている間に食べたかったのだが「角度が難しい」とか「もっと美味しそうに撮る」とか云って、中々終わらなかった。

　極めつけが店員に「全員一緒に撮りたいんですけど～」と頼んでいた事だ。いつ食べるんだろう。

　そうして、食べている間も皆はスマホをずっと見ていた。仕方がないので、私もスマホを見ていた。

　リアルタイムでＳＮＳを見たら「女子会ランチ☆」やら「卵がふわっふわ」など、何処にでもある投稿だった。

　　　　〇

　私の感覚がずれているのだろうか。折角集まったのに近況報告なんかもしないでスマホばかり見ている。ＳＮＳはいつでも見れるのに。

　でも自分だけ違うリズムで動くと、どうなるかは知っている。もし私のいない所で悪口を云われていたらどうしよう。

　ランチなんかに行く時は、ある程度人数がいた方が色んな料理の写真が撮れる。それも踏まえて、嫌いな人がいても我慢して出席する人がいると何かに書いていた。

　美味しいランチが食べられるんだし、少し位我慢して皆に合わせている方がきっと良い。

　それより、私の投稿に、コメント少ないかも……。私は沢山イイネをしよう。

　自分の感情を、見ないふりをする事にした。皆のノリや空気の方が大事だ。

　私だって、行きたくないお店には行かない。なので、ランチやお茶の間、小一時間だけが、我慢の時間だ。

　それをやり過ごすと、好きな時にスマホを見て、イイネを押せばいいだけだ。

　それだけで、仲間外れの心配が無くなるんだ。