ドバイの恋

のり1950

第1話 帰りの電車の中で

「だめ、だめ。側によっちゃだめ」

真一は、真顔でつぶやくような小声で言った。

夜の電車、ガラガラに空いていたソファーで座

席一列を5人の男女で座っていた中での事。4

0前後と見られる女性は、言葉を無視して、

すりよっていた。

「順ちゃん、だめよ」

と香川の10歳年上の女性が、しゃべった。


さっきまで、池袋の先のレストランで五人皆

で楽しく食事をしていた。特別、電車の中で

悪いことがおきていたのではなく、真一とい

う男性と順子という女性との接触に関して

の話だった。

池袋に着き、全員降りた。真一は、家に電話

し、娘が帰っているかどうか確認した。

「後40、50分で帰るから」

香川の高橋さん親子が品川のビジネスホテル

へ、田口さんが大岡山の住まいに、帰っていっ

た。順子と真一とだけが、ホームに残った。

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