『アルプスのおじいちゃん はい・じい』

やましん(テンパー)

『アルプスのおじいちゃん はい・じい』

 これは、すべて、もう、燃え尽きそうな、うつぎみな、やましんの、猛暑の妄想による、フィクションであります。


 

     ⛰️   ⛰️   🏔️



 真夏の、フライパンのようになった


 『申子園もうしえん球場』の、裏アルプス席。


 はい・じいは、いつも、その頂きにいます。



 身動きもしません


 もしも、大雪になっても、動きません。



 むかしは、たくさんのひとが、ここで、野球や、アトラクションをしました。


 いまは、もう、だれも、いなくなりました。


 はい・じいは、ただ、じっと見つめています。


 プロ野球なんて、実物を見たこともなかったから。


 初めて、野球といふものを、見に来た日。


 このあたりにも、普通のように、ミサイルが落っこちました。


 なんで、そうなったのかしら?


 はい・じいは、崩れたままの、まるで、むかしのローマの遺跡みたいな球場の、でも、やっと残ったそこで、ずっと、考えています。


 外からだって、丸見えだ。


 もう、千年くらいになるかなあ。


 遺体を弔いに来た人は、だれも、いません。


 ほかにも、はい・じいに、似たようなひとは、ぽつぽつは、いたけれど、みな、もう、疲れて、消えてしまいました。  


 世界中、どこも、いっしょだったらしいけど、はい・じいは、それは、知りません。



 いまや、ここに、残っているのは、はい・じい、だけ。



 あとは、燃え尽きた大地が、ちょっと、たまに、きゅんきゅんと、かわいらしく、鳴いているだけなんです。



 『偉大な、何かが、あとに残るなんて思ったら、やっぱ、幻想なんだよなあ。』


 はい・じいは、そう、言いたくて、じっと待ってるんですけれど、だれも、聞いてくれるひとは、もう、現れないのです。


 


 はい・じいは、あなたかも、しれません。

              👻


           2019年 8月



    🚀  🚀  🚀 


 

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『アルプスのおじいちゃん はい・じい』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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