現状
勝利だギューちゃん
第1話
同窓会が行われた。
参加する気は、なかった。
思い出したくない過去だからだ。
通知には、『同窓会は、タイムスリップできる貴重な時間です』
あたりさわりのない言葉が書かれている。
早速、ゴミ箱行きだった。
しかし・・・
数ヵ月後、僕はなぜだが、参加していた。
なるほど・・・
確かにそうだ・・・
タイムスリップしている・・・
昔の派閥で固まっている。
他の連中には、眼もくれない。
まるで、道端の石ころのようだ。
僕は、当時孤立していた。
なので、誰も声をかけてこない。
おそらく、僕をオブジェのひとつとして、置いておきたかったのだろう。
さてと・・・
昔みたいに、悪く言われないうちに、おいとましよう。
僕はレジへと向かう。
「あの部屋の会計、お願いしますう」
「もう、お帰りなんですか?」
「私は、スポンサーとして、呼ばれましてので、金さえ出せば、いなくていいんです」
お店の人は、プロらしく、会計を済ませてくれた。
少し多目に、支払っておいた。
そして僕は、夜の町へと消えた。
だれも、気にも止めない・・・
悪く言われる人間は、何をしても悪く言われる。
世の中、自分よりも下と見た人間には、冷たいのだ。
数日後
「どうして、帰ったの?」
当日の出席者のひとりで、幹事の女の子から連絡があった。
「用は済んだからだ」
「用って?」
「お金目当てで、僕を呼んだんだろ?
なので、金さへ払えば、僕はいなくてもいいんだ」
「・・・くん」
僕は、電話を切った。
なるほど、確かにそうだ。
昔と変わっていない。
人とはそんなものだ。
表向きは変わっても、内面は変わらない。
僕は、このままだな・・・
現状 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます