第5話 〝金髪碧眼美幼女のタナファさん〟と〝のじゃロリエルフの村長ちゃん〟—— を、照らし続けていたわたしが、見たモノをありのままに伝えるぜ?『異世界て、やべぇところだな…』

*前の5話を新しく書き直しました。

前の5話の方が良かったと言う方もいるかもしれませんが、すみませんっ!こっちの方が面白いと、思うのでっ‼︎



呼吸のとまっていた赤ちゃんに、村長アビィが魔法をぶっ放して息を吹き返させ。


『そんじゃ、この赤ちゃんベイビーの親を探しに行くかぁ〜っ!』と、歩き出そうとしたところで、村長アビィから『待つのじゃ』と、声が掛かった——



「この赤子の事は妾一人に任せて、タナファは妾の家に戻っておるのじゃ」


「は?」



そう言って、家を指差す村長アビィ


真剣な目をした村長アビィはまるで、これから死地へと赴く戦士のようで—— えっと、どうした村長アビィ



「赤子の親は…妾一人で探しに行くのじゃ」



ぺったんこな胸ちっぱいに手をあて、決意に満ちた瞳で言う村長アビィ


どうやら、何か変なスイッチが入ってしまったっているようだ。



村長アビィ…」


「タナファ…」



しばし見つめ合う、オレと村長アビィ…。


とりあえず面白そうなので、オレは村長アビィにノリを合わせておく事にした。



「なぜ…?なぜなのっ⁉︎、村長アビィっ…‼︎一人でなんて、無茶だよっ!二人で、二人で力を合わせようよっ‼︎』


「………すまぬ」



〝スッ…〟



「…………あ、れぇ〜」



ら—— 村長アビィの手を掴むはずだった、伸ばしたオレの手は、村長アビィが一歩、身を引くことで避けれてしまった。


うん、避けられたね…。


ショックだ…。


と同時に、少しイラッと来た。



「タナファよ—— 」



〝シュバっ!〟



「って、あぶなっ‼︎」


「ねぇ…どうして避けるの?」



イラッと来たので、村長アビィの言葉を遮り。


村長アビィを取っ捕まえるために貫手を放ったが、また既のところで避けられた。


更にイラッと来た。



「…………」



〝シュバっ!〟貫手。



「ほわあっ⁉︎」



村長アビィが避ける。



「ねぇ、どうして避けるの?」



〝シュバァンッ!〟身体強化の魔術を使っての貫手。



「ちょっ⁉︎待つのじゃタナファっ‼︎」



同じく、身体強化の魔術で避ける村長アビィ



「ねぇ、なんで避けるの?避けちゃ、嫌だよ…」



ねぇ?ねぇ?ねぇ?なんで避けるの?オレ、悲しいよ…。



「待て、待つのじゃタナファっ‼︎流石に—— あぶっ‼︎妾でも、身体強化の魔術で強化された貫手など喰らえばーっ‼︎ ひ、一溜まりも無いのじゃあっ‼︎」



大丈夫、所詮は8歳の幼い幼女の拙い強化だから。


この程度—— 天下の『三聖者トリニティ』との呼び声高い。


『賢聖』、『剣聖』、『拳聖』の三人のうちの一人。


賢聖けんのひじり』—— 今代最強の魔法使い。


〝アビィゲルヘナ・ノジャロゥリ・ルーラルヘッド〟相手に、効くわけがないからっ‼︎


安心してっ!


オレの手に、掛かかれっ‼︎


オレは必死に避け続ける村長アビィを取っ捕まえるため、一段階ギアを上げて挑む事にした。



「シッ…!」



〝シュッパァンっ‼︎〟



「あぶわぁっ⁉︎」



〝ぺしんっ!〟



音速のスピードで放ったジャブ


だがコレも、村長アビィ手のひらで払うパリングで避けてみせた。



「あ…」


「タ、タナファっ⁉︎」



左の手が、ジンワリと痺れる。


村長アビィが…村長アビィがオレの手を、払いのけた…。



「タナファっ!す、すまぬのじゃっ!流石にアレを喰らっては、妾の命が——」



〝スッパアン‼︎〟



「あぶわぁっ‼︎タ、タナファっ⁉︎」



村長アビィが、オレの手、払ったぁ‼︎



「う…ううううっ……‼︎」



許さない…。


許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、許さない—— ユルサナイィッ…‼︎



「タ、タナファ?タナファ⁉︎タナファーっ‼︎へぶうっ‼︎」



〝スッ—— パ、パ、パ、パァンッ‼︎〟



オレは振り子のように振った左腕を、鞭のようにしならせ。一息に四発のジャブを音速—— 否、音を置き去りにしたスピードで放った。


それを村長アビィ振り子の様に避けるウィービング体を反らせて避けるスウェーバック屈んで避けるダッキングを駆使して避ける—— も、最後の一発に捕まり、被弾。



「ちょっ、待っ、タナっ、へぶうっ‼︎」



オレはこれを好機と見て、更に追撃のジャブジャブジャブストレートっ‼︎


ガードの上から容赦なく叩き込む。



「ぐぶっ、ごふぅっ‼︎」



たたらを踏む村長アビィへ、更に左フック。右のアッパーで宙に浮かせ——



「カッハァ…ッ‼︎」



トドメに、左の打ち下ろしチョッピングレフト村長アビィを地面に叩き落す。


すぐに捕まえたい衝動に駆られるが…油断せず、構えを解かずにしばらく様子を見る。


足のつま先で突いてみて—— どうやら、村長アビィはもう、動けないようだ。


よし、オレの—— 愛の勝利だっ‼︎



「ぐすっ…村長アビィ〜っ‼︎」



オレは、うつ伏せで潰されたヒキガエルように、ピクピクと手足を痙攣させて横たわる村長アビィを、セイッ!と仰向けに転がし。逃がさないよう〝ぎちぃ、みしぃ…〟と、4の字にしがみついた。



「ぐぶぅ…っ!タ、タナファよ…。なんて、容赦のカケラもない…。妾、そんな苛烈なタナファもしゅ、好きしゃきじゃが…。今は妾の話を、よ、よく聞くのじゃ…。否、よ、よく、聞いて欲しいのじゃ…。お、お願いしますのじゃっ‼︎タナファっ⁉︎タナファーっ‼︎今はもう、もう…夜も、夜もぉっ!お、遅い時間なのじゃぁっ…‼︎あ、痛いっ!痛いのじゃあああっ‼︎」



苦悶に歪む顔で、『はぁ?』と言いたくなるような事を告げる村長アビィ


確かに、だいぶ夜もとっぷりと更けて—— 大体、夜中の21時を過ぎたくらいだろうか?


とりあえず、天を仰いで『ギブッ!ギブなのじゃっ‼︎痛いぃーっ‼︎』と、地面をタップする村長アビィの足に、オレは〝いいからサッサと続きを話せ〟と〝ぎちぃ、みしぃっ!〟と更に強くしがみついておいた。すると——



「タナファーっ‼︎よく、よく考えたらぁっ!常識的にぃ〜‼︎子供はもウオォ—— っ‼︎寝るぅ、時間ん〜っ!なのじゃ、アーーッ‼︎」


「あ、村長アビィ…まさか、そんな…。村長アビィがふざけた小芝居までして言いたかった事は、そんな…マトモな大人みたいな事だったと言うのっ⁉︎」



常識はずれな存在の村長アビィが、そんな常識的な事を言って、聞かせようとするだなんてっ‼︎


頭でも打つけて、マトモになったとでも言うのかっ村長アビィ⁉︎



「これでも妾はこの村の村長で、他の者共と比べれば、マトモな部類の大人なのじゃっ!タナファには言われたくないのじゃーーっ‼︎」


村長アビィーっ!」



〝ぎち、ぎちぃ、みしぃ…っ‼︎〟



「アーーッ‼︎妾が、妾が、悪かったのじゃーっ‼︎ちょっ⁉︎この格好、下穿きパンツが見えちゃうっ!見えちゃうのじゃーっ‼︎恥ずかし痛いのじゃーーっ‼︎」



こら、村長アビィ、めっ‼︎



村長アビィにはお仕置きとして、恥ずかし固めを極めておいた。


もちろん、パンツはしっかりと拝ませて貰った。


色気もへったくれも無い、お子様ご用達のパンツだったよ。ぐへへへっ…。




『アイキャッチ』~~ TS〝農家ファーマー〟(๑≡д≡\皆〝F〟になる…/)y━・~~




お仕置きから村長アビィを解放してあげて、しばらくすると——



「フ、フッ…なぁに、赤子の親の一人や二人。妾一人でも、すぐに見つけて見せるのじゃっ‼︎」



と—— スカートを手でおさえ、足をガクブルさせながら、〝グッ!〟と親指を立てて言って見せる村長アビィ


その発言で、やらかす死亡フラグまでぶっ立てているという事実に、本人は気づいていないのだろうか…?


気づいて、いないんだろうなぁ…。


なんて、残念な娘(御歳302ちゃい)…。



「タナファよ、家で良い子にぃ—— 寝ておるのじゃぞぉーーっ‼︎」


村長アビィーーっ!」



そのまま、ブンブンと手を振りながら走り去って行く村長アビィ


おい、ちゃんと前みて走らないと転んじゃうぞっ‼︎



「夜道は暗いから〜!足元に気を付けるんだぞぉ〜っ!あんま遅くなるようなら、あきらめて明日にするんだぞぉ〜っ‼︎」



心配なので、そう声をかけたが——



「わかったの、じゃっーー へぶうっ‼︎」



その直後に、村長アビィは石に躓き、転び、膝を擦りむいた。


なんて、残念な…(以下略)。



あ、赤ちゃんの親はこの後、村長アビィが泣きベソかきながら必死に探したけど見つからなくて。


おそらく、たまに神々の手違いで産まれてくる『神の落とし子』だろうって事で、後日、街の協会の孤児院に引き取られる事になった。


めでたし、めでたし。





~ sideわたし ~



〝フヨフヨ〟と宙に浮かんばされたまま。


わたしは、真下で繰り広げられている。二人の壮絶な〝乳繰り合い〟を、ガクブルと震えながら照らし続けていた。


ん?


なんでわたしが、二人を照らしているのかって?


それはわたしが、めっちゃ発光しているひかってるからだね。


冗談とか、比喩とか、ものの例え、とかでは無く。


その輝きは、月明かりの光り以上よっ!


まぁ、それはさておき。


ねぇ?のじゃロリエルフちゃん。村長ちゃんだったかな?


あなた、わたしを照明の代わりに使ってない?


めっちゃ発光しているひかってるからって、丁度いい照明代わりに使ってない?


それとね、金髪碧眼美幼女さん。いえ、タナファさん。


恐ろしい娘…。


TS転生者みたいなんだけど…。


この娘、ハイライトの消えた目と、おっそろしいスピードのパンチで、村長ちゃんに殴りかかってんの…。


あれ…フリッカージャブってやつだよね?


デトロイトスタイルの…。前世はプロボクサーなのかな?


肘から先が見えないんだけど…。


音とか、後から遅れて聞こえてくるし…。


今、8歳くらいだよ…?


おかしく——



〝—— パァンッ‼︎〟


『—— へぶうっ‼︎』



て、 村長ちゃんの顔が爆ぜたぁーっ⁉︎


あ、いや、ちゃんとある。


て—— うおおおっ‼︎


タナファさん、村長ちゃんをタコ殴りっ‼︎


ヒッ⁉︎


アッパーで人が宙に浮い—— て、そのまま地面に叩き落としたーっ⁉︎


容赦ねぇーーっ‼︎‼︎


えっと…そ、村長ちゃんピクリとも動かないんだけど…。


あ、タナファさんがつま先で蹴って確かめてる。


本当に容赦ないな…。


あ、動いた。


ピクピクしてる…。


タナファさんが駆け寄って——ゴロンっ⁉︎


ちょっ⁉︎


もう少し優しくしてあげ—— 足4の字固めぇーっ。


えーーっ⁉︎


からの、恥ずかし固めええええっ‼︎


でも、〝謎の光で〟肝心なところはわたしには見えないいえっ‼︎⁉︎


なんでーーっ⁉︎


ねぇ、ちょっと‼︎


パンツは⁉︎


のじゃロリエルフな村長ちゃんの〝おパンツ〟はっ⁉︎


ねぇっ‼︎村長ちゃん、どんな〝おパンツ〟はいてるのおおおーーっ⁉︎


気になるんですけどおおおっ‼︎




あ—— ちなみに、わたしの親はこの後。村長ちゃんが、すっ転んで泣きベソかきながらも、必死に探してくれました。


見つから無かったけど。


おそらく、たまぁ〜に神々がやらかして産まれてくる。『神の落とし子』とかいうやつだろうって事で、わたしは後日、街の協会の孤児院に引き取られる事となりました。


いや、まじかよ…。


異世界て、やべぇところだなぁ…。

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