「エピローグ」

 数年後。


「ただいまー」


「京ちゃんおかえりー。今日は早かったね」


「部長が不在だったからな。ひさしぶりに残業なしで帰れたよ――て、お前なん

 て格好してんだよ!」


「えー、新婚さんだったらしてもいいって言ったのは京ちゃんだよー」


「た、たしかに高校生のときにそんなことを言った気がするが。よく覚えてたな」


「当たり前だよー! それよりさ、どう? ドキドキする?」


「あーうるせえな! ……そ、そりゃ、するけどさ」


「え? なに? なんて言ったの? 聞こえなかったからもう一回言ってよ」


「ぜったい聞こえてるよな! もう言わないし! つーかさ、も、もし高校生のとき、俺がその格好で玄関まで出迎えてくれって言ってたら……してくれたのか?」


「京ちゃんはどう思う?」


「いや、わかんねえから聞いてんだけど」


「ふーん、そっか……じゃあ、わたしもわかんない!」


「じゃあ、ってなんだよ! ほんとはわかってんだろ! おい、答えろよ! 気になんだろ!」


「あ! そうだ! 京ちゃん、ご飯にする? お風呂にする? そ・れ・と・も、わ・た――」


「そういうのいいから! 教えろってばー!」


「そんなことを言う京ちゃんには、教えてあげないよ!」


 琴乃は可愛らしく舌をベッと出す。


 くそ! やっぱり琴乃の考えていることが、ぜんぜんわかんねぇ!



 E N D おわり

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