この世界の主人公は俺だった
@Romei
プロローグ
突然だが、俺には特殊能力がある。
触れたものを触媒に、罠を仕掛けるー
そうだな、言うなれば地面のある場所にしかけた罠の上を誰かが通ると罠から出てきた炎柱に焼かれる、てな具合だ。
俺はこの力を使い、仮面を被ったヒーロー、「トラッパー」として街に暗躍する悪を日々狩っている。
また突然、突飛なことを言うが俺はこの世界の主人公だ。
そうだな、確信に足る出来事の1つを話そうか、回想を入れるからまあ見てくれ。
ー
「もー!おっそいんだから〜!!」
駅の柱に背をもたれかけ、腕時計を見ながら人前にも関わらず大声を上げる金髪ツインテのこいつは俺の幼馴染の華尾 柚葉。金髪なのに純日本人みたいな名前してるのほんとおかしいと思うけど父方がイタリア人とかでもなんでもなく日本人だ。
「お前がはやいんだよなあ、、、」
俺。説明は特にないが俺だ。
「そんな事ないわよ!あんたが遅いの!!」
「いや待ち合わせ時間の30分前に着いてるのが割とおかしいぞマジで」
「べっ別に楽しみだったとか思ってないんだからっ!」
ベッタベタなんだよな、2000年代後半のオタクが描くツンデレキャラだ。
「、、、まあいいから、行くぞ。上映時間15分前だ。」
「あっ、ま、待ちなさいよ〜!」
リアクションまでベタの極みかよ。
暗くなった劇場内では一眼レフカメラの頭をしたスーツの男がパトカーの頭を付けた警官であろう男が共に踊り狂う映像が流れる。
「こんな細かい所まで配慮する必要あるのか、、、?」
「?なんか言った?」
「いや、何も。」
思わず口に出てしまった、
「あんたはいつもよくわかんないわね!ほらそろそろ始まるわよ!」
「ああ、そうだな、、、」
俺の読みによると、3.2.1、、、
バッ
「なっ何?!急に暗く、、、非常灯も全部!!」
上映が始まる前の暗くなる瞬間とは違う、ブレーカーが落ちたかのように余韻もクソもなく急に非常灯の電気も全部消えた、スマホも付かない、大丈夫予想通りだから。
おおかたそろそろだろうな、、、
「ふっはっはっはァ!!愚かな人間どもめばら」
はい予想通り〜
昨日の夜のうちに映画館に忍び込んでありとあらゆる場所に“悪意を持った人間が通ると発動するトラップ”を仕掛けておいた。精度がクソなので“踏んだ人間を確認するまで”発動しない仕様だ。
「出るぞ一旦、立てるか?」
「え、ええ、、、なんだったのかしら、、、」
「さあな、でもなんか悪いやつのテロっぽかったし気を取り直して他の映画館にでも行こうか、ちょっと遠いけど大丈夫か?そのヒール、無理してんだろ。」
「なっ、よ、余計なお世話よ!ふん、特別に付き合ってあげるから早く行くわよ!」
ー
と、まあこんな感じだ。
「バトル物主人公がツンデレ幼馴染と映画デートしに行くと、、、」
何も起きないはずがないよな?全容は見えないが悪の組織でも居るのだろう、奴はその一角。
そして悪の組織の親玉は何故か俺を執拗に狙う、俺には生まれた時から父親がいなかったから大方その筋か親玉が父親本人だろうな。
親玉と一戦交えて「俺に似た力だな」という一縷の違和感が伏線で最終決戦で仮面を外し「初めて会うな、我が息子よ、、、」みたいな展開を期待しているんだろう、全部どっかで見た展開だ。なら全部先に潰して俺は柚葉と平和に暮らす。
俺は柚葉の事が大好きだ、世界一愛してる。
照れ隠しで悪態を着いた後に罪悪感でしょぼくれてるのも愛おしくて仕方ない。そしてそれを伝えた時に赤面しながら力なく叩いてくるのも本当に可愛い。
好きだ、揺るがない気持ちだ。
絶対に守る、何があってもだ。それがこの世界で俺に与えられた役目なんだろう。作り物だろうがなんだろうが、柚葉を悪には触れさせない、指先の1本でも触れさせない。
先を予測して、先手を打って全部潰してやる。簡単な事だろ?
この世界の主人公は俺だった @Romei
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