元英雄は失った青春を取り戻したい

大佐

第1話 終戦と誕生日

「うわああああ!」

「やめてくれ!」

「撃たないでくれ!」

「「助けてくれええ!!」」


そんな悲鳴をかき消すように無慈悲で、乾いた銃声がオーケストラのように鳴り響く。

そして、沈黙が訪れる。

ある者は内臓が抉られ、ある者は原型を留めず、ある者は原型を留めたまま焼け焦げている。

それをやるのもやられる同じ人間だ。

幸か不幸か僕はやる側で、今もかつて人間だった物を笑顔で眺めている。

「大隊長!」

一人の兵士が僕を呼んだ。

「なんだい?」

僕は上機嫌に答える。

「上層部より現時刻をもって終戦を宣言するとのことです!」

僕は叫んだ。

「大隊傾注!現時刻をもって終戦を宣言する!我々の勝利だ!」

その言葉を発した瞬間、いろいろなものが見えた。全身で喜びを表現する者、

泣き叫ぶ者、静かに笑う者。

敗北の事実を知り絶望する者、自決する者。

僕は、どれにも当てはまらなかった。

僕は開戦直後に家族を失い、今まで復讐心と憎悪を糧にして生きてきた。

戦争はそれを晴らすことのできる場所であり同時に僕の存在意義でもあった。

「大隊長の誕生日プレゼントに終戦を贈るとは政府も粋なことしますね」

ああそうだった。今日は僕の誕生日だった。

「いいや、クソだな」

僕は静かに笑った。

その後、僕達は本土に戻った。

兵士達が僕の誕生日会をすると騒ぐ中、

僕は寝た。



その日、変な夢を見た。

結論から言うと、僕は二階級特進した。

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