第2話 序章02 アレクシアは5歳です 転生しました



ルーシーに頼んでパンツを用意してもらう間、ワンピース型のパジャマの裾をめくってみて溜息が出る、あんな顔してるから付いてるわけないんだよな。

そうこうしているとルーシーがパンツを用意してくれる。

ドールに履かせるような大きいカボチャパンツだ。


「アレクシア様、そこはじろじろと人前で見ていてはいけませんよ、めっ!です」

「ごめんなさい」

「判っていただけたら良いですよ、さあ足を上げて下さい」


そう言われて膝まで丈があるパンツを履かしてもらうと、もう一度ベットの中に潜り込む。

そして考える、これからどうしようかと。

当面は女児を演じて情報収集し、生活上の失敗をしない様にしようと考える。

転生前は学があるわけでなく、女に相手もされないボッチな嫌われ者で、素人童貞で来たからな、せめて過労で倒れない人生を送りたいものだ。

そう考えていると廊下で声が聞こえてきた。


「アレクシア、目が覚めてから何やらおかしくなったって本当なのか?」


白髪が混ざった金髪の初老の老人が、妻らしい女性と10歳位の女の子を伴って、部屋へと入ってきた。

俺は正体を確かめるべくルーシーに確認を取ってみる。


「ねえルーシー、こちらの方々はお爺様とお婆様とお姉様ですか?」

「そうですアレクシア様の御爺様のエドモンド様とその奥方様のクローイ様その御隣の御方は従姉様のアルバータ様です、姉君は別に居られますよ」


そのように聞かされると、慌ててベットから起き上がり体を御三方の方へ向けると頭を下げる。


「お爺様、お婆様にお姉様ご迷惑をおかけしましたです、頭を打ったからなのか

自分が何やら分からないのです、御免なさい」

「何だその物言いは!お前は何者だ!!

「ハアー!!!」


行き成り祖父らしき男から殺気を放たれる、こんなのは街のごろつきとはレベルが違う威圧だ。

だが何故か動じないのがこの体、何でだ?

余りの状況の不可解さに老人を見て首を横に傾げると、老人の表情が元に戻り

柔和な表情へと戻って行く。


「これに動じないとはな、以前のアレクシアなら反応して飛び掛かって来るやもしれぬのにな」

「あなた、やり過ぎですよ、ほら見た感じから以前とは違って穏やかになったから

宜しいではありませんか、私は好きよ」

「ありがとうございます御婆様、右も左も分からないですのでよろしくお願いします」


そう言って頭を下げると、御婆様に頭を撫でられる。

生前味わった事のない生暖かい雰囲気は悪くはない、そうしていると少女が口を開く。


「あの凶状持ちのアレクシアなんですよね?確かに違いますねまるで別人」


老婦人の横で服の裾をつまんでる少女が呟いている、

腰辺りまである明るい茶髪の女の子で、驚いた表情を見せているクール系美少女の顔。

整った顔つきだ、でも凶状持ちは無いだろう!何だよソレ!。

取り敢えずコンタクトを取ってみる。


「あのうアルバータお姉様でしたね、ステキそうですよろしかったら私をお友達にしていただけませんか?」


ああ、前世だったらこんな真似できないが勝負してみる。

今の俺は幼女、幼女。


「ベ、別に構わないですが、以前みたいに戻られるようでしたらお断りです」


少々頬を赤らめながらながらも返答してくれた、よし!そして少しずつ御爺様達と言葉を交わしていると、御爺様達を呼び出す

使いの人が現れたので御爺様達はアルバータお姉様を残して一旦離れていった。

そして疑問に思ったアルバータの立ち位置を聞いて見る。御爺様達の娘?


「所でアルバータお姉様は、御父上に付かれてここに来られたのですが?」

「本当に判らないのね、私は貴方のお父様の兄の娘なんだけど生まれた時には死んじゃっていて、母もいなくなったから御爺様の養女になって、ここから少し離れた別のお屋敷で一緒に住んでるわ」

「そうなんですかごめんなさいです」

「本当しおらしくなっちゃったわね、いいわよお友達になっても

そうね貴方の姉のジャクリーンが今のあなたを見てどんな反応を示すのかが、

身近で見れそうで面白そうだし」

「もしかしてジャクリーンお姉様とは仲が悪いのですか?」


私に少し邪悪な微笑みを見せながら質問には答えず、私の髪を串で優しく梳いてくれてるアルバータお姉様だった。

だが意外とメンドクサそうな性格の娘なのかもしれない。

そんな女の子相手のスキルなんて持っていないぞ!



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そして別室では祖父である先代エドモンド拍と現辺境伯である父ブラッドとの

会談が行われていた。


「父上いかがでしたかアレの様子は?」

「アレとは相変わらずだな、見た所別人だな魂憑きかと思うて殺気を飛ばしても

無反応だったぞ」

「無茶をされますな、そうでしたか、でしたら怪我をした事をこれ幸いに反省し心を入れ替えたと思うしかありますまい」

「そうだな、お前が良ければワシが面倒をみようか?、殺気に動じぬ鈍感なのか

豪胆さなのかは分からんが今のアレクシアなら面白そうだ」

「成程、考えて置きましょう」



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そうしてアレクシアのいない間に話がまとまっていた頃アレクシア達の部屋に

新たな訪問者が訪れた。


「メイドよアレクシアがまともになったというのは本当なのか?」

「どうせお父様達を振り向かせる為の嘘なんでしょ、さっさと返るわよマーティン」

「いえ、アレクシア様は今や立派なご令嬢様です」

「本当かどうか見せて見ろ」

「いけませんマーティン様!」


騒がしくなったと同時に扉が開くと大人しくしているアレクシアの髪を

優しく梳いているアルバータの姿に、二人の男女の子供が驚きの表情をしている。


「あらジャクリーンとマーティンどうしちゃったの驚いた顔をして?」

「何であんたがここにいるのよアルバータ!いつも引きこもってるくせに」

「居ちゃダメかしら、小さい頃は一緒に良く遊んだじゃない」

「あなた、そいつのせいで来るのを止めたんでしょどうしてよ?」

「状況は刻一刻と変わるのよ」

「何それムカつくーー!!!」


二人の姉が口喧嘩をしている横で、多分俺の兄らしい少年がポーとした表情で

俺を見つめている。

何だか怖い。


「お前達何をしてるんだ」

「お父様いえ、少し化け物の様子を見に来ただけです、行くわよマーティン」

「引っ張らないでよ姉様!」


姉に手を引かれて去って行く二人を見送ると、お父様達と見つめ合う。


「ほう、もうアルバータと仲良くなったか、まあいい頼むからこれからは

大人しく過ごすようにな、そうでないとアルフォード家から放逐せざるを得ないからな」


「判りましたお父様」


結構アレクシアの立場が崖っぷちだったのねと思い知らされる。これは気を付けて振舞わなければ。


「アルバータも良かったらこの子の事を気にかけてやってくれないか」

「承りました御当主様」


アルバータ姉さんの応対の仕方も臣下みたいだ。


「・・・それでは政務に戻りますゆえ後は任せします父さん」

「ああ、分った」


そうして父親がこの場から離れると、祖父母と従姉とメイドが部屋に残された。


「アレクシアよ聞いての通りだ、これからは上手く振舞うのだぞ何事も本能でなく考えて行動するように、いいな」

「判りました御爺様、放逐されないように頑張ります」

「その心意気や良し!」


それからあれこれ尋ねられると切りの良い時間なったのか御爺様達は去っていった。

御爺様達は優しそうな人達の用だが、アルバータ姉様は人形のような感じだな、

大人びてるが今は亡き長兄の娘か、男なら家督騒動の火種かもね…

そして実の兄と姉とは上手く行きそうにない雰囲気か、先が思いやられるな。

ちなみに兄のマーティンは2歳年上の7歳、王都に進学中の長兄が12歳ジャクリーンとアルバータが9歳だそうな。

ちなみに大貴族だけれど他に側室やら愛人の子共はいないとかうーん以外。

色々の出来事によって色々疲れたけれど、何とか明日からは頑張ってみようと心に誓うのであったが眠くなった来た・・・

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