第六話 何だって?
「劉葉、起きなさい!」
またお母さんが僕を起こした。でも僕は無視した。
「劉葉! 友達が来てるのよ!」
友達が? でも約束なんてしてない。そもそも中学生になってから家に呼んだことすらない。精々織姫と帰り道が同じくらいだったけど。大体、今十時だよ? 二時間目の真っ最中に友達が来れるはずがない。
「ごめんね、みんな。今劉葉は…あ!」
お母さんがそう言った直後に、僕の部屋のドアが開いた。
「見つけた、劉葉!」
僕の部屋に、織姫、氷威、祈裡、鈴茄、正忠、凌牙、須美ちゃん、栄治郎が入って来た。
「…みんな、どうしたの?」
どうしたもこうしたも、ない。この時間は学校にいなければいけないのだから。
「劉葉がいないといけないのに、学校に来ないから」
行けるワケないよ、だって僕はみんなを裏切った。大事なことをずっと黙っていたんだもん。
「昨日の校長先生の話、劉葉はきっと気にしてるだろうけどさ、俺たちにとってはちっとも重要じゃねえよ!」
「それは、本当?」
氷威の言葉が信じられなかった。彼に親がいないからではなく、みんながあの事実をもっと深刻に受け止めていると思っていたからだ。
「当り前じゃない! だって劉葉は、校長先生が自分の父親ってわかってて、歯向かったんでしょう? 私じゃ到底できっこないよそんなの」
「みんなが劉葉を待ってるんだよ。早く学校に行こうよ!」
みんなが僕のことを裏切り者と思っていなかったのは嬉しいことだ。でも、
「僕は朝、学校に行かなかった。不登校は敗北だよ。もう僕は負けたんだ。だから今さら行っても意味ないんだ…」
「それは違うぜ」
凌牙が言った。
「どういうこと?」
「先生が朝に突然、完璧絶対授業を今学期で廃止にすると言ったんです」
「何だって!」
僕は栄治郎の言ったことに驚いた。僕が学校に行かないと決めた以上、勝ったのは先生たちのはずなのに…。
「それを教えたくてわたしたち、学校を抜け出して来たんだよ! 校長先生、劉葉のお父さん本人がそう言ったの。わたしたちには理由は教えてくれなかった。でも息子の劉葉には教えてくれるかもしれない。一緒に来て!」
織姫たちがここまで来ているのなら、もう僕の都合だけで学校に行かないなんて言えない。僕はすぐに支度をして、学校に向かった。
この戦争に、一体何が起きたんだろう?
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