第二話 僕の目に迷いはない!

 放課後、織姫を連れて僕は同盟国を訪ねた。

 まずはお隣の三組だ。この前までは横を通るとかなり暗いお葬式ムードだったが、最近活気を取り戻してきた。

「先生を味方に、ですか…」

 栄治郎は困惑している。やらなければいけない作戦ではあるが、簡単にはできない。

「そうなんだ。この先必ず、味方の先生は必要になってくる。だから今のうちに。誰か良い人はいない?」

「僕が、その作戦を実行しましょうか?」

 それは違う。作戦を遂行するのは、僕の役目だ。

「それは僕がやるよ。僕が栄治郎に聞きたいのは、生徒の味方になってくれそうな先生はいないか、ってこと」

 栄治郎は一旦考えて、

「…木村先生しかないと思います。思い返せば一番苦しくなかった授業をしてくれたのは、木村先生だけでした」

 そう答えた。それが三組の返事だった。

「僕ももう一度、木村先生のことを見てみたいです。作戦が実行される時は是非とも呼んでください」


 次は二組。僕は教室の入り口で、凌牙を呼んだ。

「何だい劉葉。また作戦でも思いついたのか?」

 事情を話す。

「お前気は確かか? 先公どもを味方に?」

「でもそうしないと、学校という組織を崩せないよ」

 織姫が言う。

「どう? 誰か思い浮かばない? その先生に合った作戦は後で考えるとして」

 凌牙は下を向いて考え出した。

「水谷のヤロウを利用するってのは?」

「負かした先生たちは信用できないの…。他に誰か、候補はいない?」

「…候補って言っても俺たち二組は先公どもと仲悪いからな…。ああでも、木村のヤロウはまだマシか」

 やはり木村先生のようだ。三組と同じ答え。

「わかった。ありがとう!」

「いつでも何でも協力するぜ? もし木村のヤロウを味方につけるって言うんなら、その作戦、俺も加わるぜ!」


 最後に一組。須美ちゃんを織姫に呼んでもらう。

「先生を味方につけたいんだ!」

 須美ちゃんは栄治郎や凌牙とは違った。

「私もそれが必要だと思ってたわ。ちょうどその相談を劉葉君にしたいと思ってたの」

 それなら話は早い!

「誰にしようか…?」

「言っておくけど、金沢先生だけはやめてよね。私もクラスも、あの先生は大嫌いなの」

「それは大丈夫」

「二組と三組に聞いたら、木村先生がいいんじゃないかって。須美ちゃんはどう思う?」

 織姫が聞くと、思った通りの答えが帰って来た。

「私も木村先生しかないと思うわ。この学校で唯一生徒のことをちゃんと考えてくれる先生、他には見当たらないから」

 一組も二、三組と同じ答えを出した。

「なら決まり! 木村先生だ!」

 同盟の中で出した答え。異論はない。

「もし木村先生の所に行くなら、私も呼んでよ。きっと力になってみせるから!」


 次の朝僕は、クラスのみんなに同盟で話し合った結果を教えた。

「木村先生だ! 僕らの味方になってくれるのは、木村先生しかいない!」

 氷威たちも各自で考えて、僕と同じ決断を下した。

「でも、一体どうやって先生を引き付けるの?」

「それはこれから話し合って決めよう! 今度の作戦は危険性が高い。じっくり吟味して抜かりの無いように準備をしなくては!」

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