雷様と雀

@nakamichiko

第1話新しい太鼓


 今一つ雷神様のご気分が優れないのを、楽器作りの神はわかっていらっしゃいました。しかし楽器作りの神様にしても、この国で手に入る材料が乏しくなり、雷神様の破れた太鼓の皮に、どうしても他の国の動物のものを使わざるを得なかったのです。お互い神様同士なのですから、もちろん雷神様も重々このことはご存じで、その旨を説明も受けられていました。


新しい太鼓は雷神様の周りを、仏様の後光さながらに円を描くように数個並んでいますが、しかし先ほどその中の一つを一度だけ

「ドン」とバチで軽く叩いたっきり、一度も音を鳴らすことはありません。


「申し訳ない、思うようにいかないのだ。どうしてもこの湿気と気温の高い国に持ってきては・・・」


神様が口ごもったり、謝ることもあるのだという見本のような、楽器作りの神様のお言葉が、逆に雷神様の小さな怒りを鎮めることができたようでした。


「仕方のないことだ、楽器作りの神よ、これからこの太鼓を上手く使うしかあるまい、それが私の役目でもあるのだから。しかし色の具合はとても良い、黒も緑も赤もそれぞれに美しい、どうも有難う」


雷神様はそう言って、すぐさまどこかに飛んで行かれました。


「やれやれ、受け取ってもらえただけでも良かった、それに楽器は

「育てていくもの」でもあるのだから、その腕も十分に雷殿はお持ちだ」と言いながら、手には竹の笛を持ち、刀でその歌口を整えられ始めました。


「天女は軽さにこだわるから」


と次の仕事も簡単には行きそうにありませんでした。


 

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