最終日(中編) 決心③

 刻々と時間が過ぎていった。既に二時間程が経とうとしていた。こんなところで時間を浪費させるわけにはいかない。


「ごめんね」


 那智に届かなくたっていい。これは私のケジメだ。


「私、那智のことが好きだよ」


 そう口にした時、顔から火が出るのではないかと言うほど熱かった。


「うん」


 那智は顔色一つ変えなかった。そんな素っ気ない返事で、意味を理解されていないのかと思い戸惑った。まるで友達同士で言い合う意味で言ったかのような、“昨日パン食べたんだ”と報告したかのようないつも通りの反応は私を不安にさせた。


「恋愛的な意味で、だよ?」


 と私が言葉を足すと


「わかってるよ」


 少し宥めるかのような返答が返ってきた。少しの沈黙の後、


「えっと、いつから・・・・・・とか聞いちゃダメか」


 那智は笑いながら言った。私はいいよ、返して質問に答えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る