5日目 こんなの知らない②
「榎嶋くん!?」
「青椿さん!?どうしてここに・・・・・・」
ほとんど同時に発せられた二人の声が交わり、互いの鼓動を震わせた。彼は一度私の頭からつま先までを見て、やっと何かを理解したかのように
「そうか、青椿さんだったんだ・・・・・・」
と零した。今まで全く知らないどこか遠くの人だと思っていたから、情報はかなり筒抜けになってしまっている。名前こそ教えていないものの、その気になれば容易に特定することができるだろう。
気まずい空気が流れる中、ずっと考えこんでいる様子だった榎嶋くんが口を開いた。
「よし、行こう」
元々カラオケに行く予定だった。というのも、セクシャリティというデリケートな話題を公の場で話すわけにはいかないからだ。もちろん初対面の異性といきなり個室ということは考慮して途中からの算段だったのだが、まあ榎嶋くんであることが分かったし、最初からでも問題はないだろう。
会うまでの心配は援助交際に見られないかだったのだが、ベニバラが榎嶋くんだということが分かった今、むしろカップルに見えるのではないか、そして誤解されないだろうかという心配の方が大きくなった。
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