3日目後半 夏の可惜夜①

 待ち合わせ場所に十分も早くついてしまった。流石に早すぎただろうか。スマホを触って時間を潰していると那智から【着いたよ~】というメッセージが届いた。顔を上げると誰かがこちらに手を振っている。・・・・・・那智だ。

 とにかく人が多い。男女で来ている人も多く、つい、私にも恋人がいたら友達を誘う必要も、誘うのを躊躇する必要もなかったのだろうかと考えてしまう。というのも、私が友達に断られた理由が“彼氏と行くから”だったからだろう。


 辺りを見回すと、所狭しと屋台が立ち並び、風が美味しそうな匂いを運んでくる。


「夜ご飯ここで食べる?」


 それに頷くと那智が続ける。


「だよね、私も。そしたら、早めに食べるの探そうよ」


 同意を返すと、とりあえず一周してみることになった。二人で話しながら歩いていると、私は一つの店先に目を奪われた。少し立ち止まっていたが、振り返ると那智の姿が見当たらなかった。あわてて近くを見回したけれど、それらしき人影を見つけることはできなかった。

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