第6話 1回でおさまらなくて……
「ただいまー。遅くなっちゃってごめんね」
1回じゃいろいろと収まらなくて……。
悪いのはあたしじゃないし。
「ん? メイク……?」
「ゆぁっ!!」
やっば、忘れてた!
あたし、そう言って抜け出したんだった!
下地すら塗ってない!
「なっ、なんでもないの! 女の子にはいろいろあるんだから、気にしたらダメだから!」
「そっ、そんなことより、仕事はじめるからね!? 締切まで時間ないし! いい!?」
「……ん。いいなら、いいの。なんか、叫んじゃってごめんね」
ホントに焦っちゃってたみたい。
頭はスッキリしたら、挽回できるように頑張んなきゃね。
「出来た順番に原稿を回すから。なるはやでお願い」
「ん! それじゃあ、よろしく!」
……えっと、怪しまれてはない、よね?
でも、1つ議もなんだけど、ゴミ箱にティッシュが落ちてないのはなんで?
……もしかしてだけど。えっちな気分になったのは、あたしだけってこと!?
でもさ、でもさ。
シチュエーションもセリフもえっちだったよね?
こうして原稿で見てるだけでも、すっごくえっちだもんね……。
……あれかな?
あたしに興味がなかったのかな?
「けっこうがっばったんだけどな……」
ギリギリまで攻めたって思うし。
これ以上ないほど密着してたよね?
「これはあれかな? ホントにあたしから手を出しちゃう……?」
でも、嫌われたくないし。
警察のお世話になるのは、本当にやばいもんね。
どうしたらいいのかな……?
「ん? あっ、ううん、なんでもない! あたしのことは気にしないで、原稿進めてて」
やっば、普通に声に出しちゃってた。
でも、より積極的に行かなきゃダメなのはわかったかな。
とりあえずいまは気持ちを切り替えて、原稿を頑張る。それだよね!
「いろいろスッキリしたし。さっきのシーンがより良くなったのも間違いないし」
うん、よし!
頑張りますか!
★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
えーっと、このシーンは……、
「うんうん。いい感じにえっちになってる!」
んー……、でもー……、
「あたしはここで縛られた方がえっちだよね?」
動き辛い中でのご奉仕。
「うん! そっちの方がえっちだもんね!」
うんうん! いい感じ!
でも、もうちょっとガバーってしようかな?
「こんな感じで縛られたら、あたしはこうなっちゃうもんね!」
ん~、あとはセリフなんだけど、どうしようかな。
「もっと過激にしたいよねー……」
おくちでご奉仕するのは確定でしょ?
あとはー……、
「ん? なになに? どったの……?」
「え゛……? あたし、原稿描いてる時に声出てる……!? ウソでしょ!?」
え!? ホントに!?
いままで1人で描いてたから、変な癖が着いちゃってる!?
「えっと、あたし、なんて言ってた!? 変なこと言ってないよね!? ね!?」
「言ってない? 大丈夫? そっ、そっか。よかったー」
助かったー。
ホントに、危ないじゃんね……。
「もしかすると集中し過ぎたら、そうなっちゃうのかも。気を付けるけど、無意識だから。変なこと言ってても気にしないで」
「ん。ありがと。あんたって、ほんとに優しいよね」
ほんとに、優しすぎるくらいに。
ついでだから、このタイミングでお願いしちゃおうかな?
「それでさ。もう1つお願いがあるんだけど、聞いてもらっていい?」
「えっとね、あたしがあたしの──じゃなかった!」
「あたしがヒロインのセリフを何パターンか読むからさ。その中で1番えっちだと思ったものを教えて欲しいんだよね」
「ん? うん。えっちなセリフを読むのは、はずかしいけど、必要なことだから」
あんたには、聞いて欲しいって言うか。
聞かせたいって言うか。
誘惑したいって言うか……、
「とにかく。あたしがえっちなセリフであんたをえっちな気分にさせるから。いい?」
「……ん。お願いね」
「えまずは椅子に座って、足を軽く開いてくれる?」
「ん。ありがと」
「それと、見られてるのは、さすがに恥ずかしいんだよね。だから、目は閉じてて」
「いい? はじめるからね?」
手を後ろに回して、縛られてる感じで。
膝を床に付けて……。
わっ、ちょうど目の前に……。
……ごくり。
「そっ、それじゃ、はじめるから」
スーハー、スーハー……。
って、ここで深呼吸してるのも、変態っぽいくない?
でも、もうちょっとだけ近付こうかな。
……こほん。
『手を使わずに御奉仕って……。あんたって、ホントにへんたいだよね』
『ふふ、いいよ。あんたはそのままゲームしてて。あたしの御奉仕で、集中出来なくしてあげるから』
『せめてズボンは脱いで欲しかったかな。口でチャック下ろすの、すっごく大変そうなんだけど』
『ちょっと思ったんだけどさ。太ももって、なめなめしたら気持ちいいのかな? 本番前に、したげよっか?』
『ん? あれ? まだ触れてないのに……。ふふ、もしかして、期待してた?』
『いいよ。今日も気持ちよくしてあげる』
『なんだか苦しそうだね』
『急いで手で脱がせちゃう? 自分で脱ぐ? それともやっぱり、あたしの口がいい?』
『ん。してあげる』
『喉の奥まで、入れても、いいよね? ……入れちゃうよ?』
『根元まで、食べちゃうからね?』
『……』
やっば!
ちょっと、攻めすぎた!?
てか、あたしの趣味、出しすぎ!?
えっと、えっと……、
「どっ、どうかな? えっちな気分になった?」
本能でいろいろ言っちゃったけど、引いてたりしない?
「えっちだった? そっか。よかった」
ホントによかったー!
それに、あたしの声でも、えっちだって思ってくれたんだ……。
「お世辞とかじゃないよね?」
「ふふ、ありがと。それじゃあ、そのセリフで作ってみるね」
「原稿はもうちょっとだけあるけど、あんたと一緒なら早めに終われそうかな」
「一緒に頑張ろうね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます