憧れのえっちな漫画家さんは同級生のギャルでした(こえけん)

薄味メロン@実力主義に~3巻発売中

第1話 えっちなアシスタント


 ピンポーン。ガチャ。


「いらっしゃい! 来てくれてありがとね! あたし1人じゃ絶対終わりそうにな……へ?」


「ちょっ、ちょっと待って! なんでアンタがここに……!? というか、なんであたしの家知ってんのよ!?」


「え? 編集さんに聞いた? あんたが、あたしのアシスタント!?」


 ウソでしょ!? ちょっと待ちなさいよ!


「そんなわけないじゃない! 証拠見せなさいよ!」


「……えっと、これは? 編集さんの手紙?」


 ちょっと待って……。


 えっと、ほんとに!?


「いっ、一応読むから……。有り得ないと思うけど。一応ね、いちおう……」



――――――――――――――――――――


 前略 親愛なる先生へ。


 女性のアシスタントじゃなくてごめんなさい。

 どうしても見付からなくて。2人で仲良く頑張ってください。


           (新田)


――――――――――――――――――――


 …………。


「うん。ごめん。新田さん……、担当編集さんの字に見えるっぽい……」


 でもなんで!?


 なんで、よりにもよってこいつなのよ!?


 ありえないでしょ! いろいろと!!


「ちょ、ちょっとだけそこで待ってなさいよ!? いい!? もし逃げたら、『酷いことされた……、ぐすん』って教室の真ん中で泣くからね!? わかった!?」


「逃げる気はないから安心していい? ……うん。わかった。ありがと」


スー、ハー。スー、ハー……。


「ごめん。ちょっと焦ってたっぽい。編集さんに電話してくるから、ちょっとだけ待ってて」


 えっと、新田さん、新田さん……。


「あった!」


 PrrrrプルルルルPrrrrプルルルルPrrrrプルルルル、ガチャ。


「あっ、もしもし、新田さん!? ねぇ! ぜんぜん意味わかんないんだけど! これってどういうこと!?」


「なにがって、アシさんに決まってるじゃん! 女アシさんが来てくれるって話だったよね!? 男アシさんが来るなんてあたし聞いてないんですけど! しかもそれがクラスメイトっておかしくない!?」


 おかしい。絶対におかしい!


 そう思うんだけど、


「……うん。忙しい時期に頼んだのはあたし。それはわかってるし、感謝してる」


「でっ、でもさ! それとこれとは別っしょ!? あたしが男と2人で漫画描くとか無理じゃん!」


 どう考えても無理じゃん!!


「え? なんでって……」


「……だって、あたしが描いてるの、えっちな漫画じゃん」


 それも、結構過激なやつ。


 むりやりの喉の奥が好きなんて。


「自分でもアブノーマルだってわかってるし……」


「とっ、とにかく! 男と2人でえっちな漫画を描くなんて、ありえない! あっ、えっと、信用してないとかじゃなくて、その、一般常識的に……」


 どう考えてもそうじゃん!


「それに! あたしがえっちな漫画描いてるって知られたら、学校に行けなくなるし!」


 売れっ子漫画家になれば学歴とかいらないらしいけど、一応、卒業くらいはしときたいし。


「え? なんで行けなくなるのかって? それは、だって……」



「あたしのペンネーム……、『おっきなイチモツランド』じゃん」



 後悔はしてないけど、ほら、女子高生には相容れないって言うか、真逆って言うか……。


「とにかく! みんなに周知されたらどうなるか、新田さんも考えて見てよ! その場面、想像してみて!」



  ~ 授業前の教室にて ~



『ねぇ聞いたー? 東堂さんって、おっきなイチモツランドって名前でえっちな本を描いてるんだってー』


『えー、おっきなイチモツランドー? どんな内容なのかな? 読んでみた?』


『うちはまだなんだよねー。今月、おこづかい足りなくてさー』


『それじゃあさ。私も半分出すから、一緒に読んでみよう! すっごく興味あるし!』


『うん! そうしよう! あっ、でも、うちらって誕生日まだじゃん』


『ん? うん。それがどうしたの? あっ、そっか。年齢制限!』


『おっきなイチモツランドだもんねー。誕生日まで待つしかないねー』


『おっきなイチモツランドだもんねー』



  ~ fin ~



「絶対そうなるじゃん! そしたら、あたし……」


 どうなっちゃうんだろう。


 やばいかも。混乱しすぎて、わかんなくなってきた。


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