青龍記

月夜見丸

エピローグ

ードスッッ‼

男が板間で己の腹に脇差を突き刺した。

「父上‼」

玄関に呆けて立っていたおなごがそう言い駆け寄る。しかし、父と呼ばれた男はそのおなごを側には寄せようとしなかった。

「ヴッ‼…お前は…獣…人武…だ…‼いづれ…狙、われようっ‼…斬れっ‼…梅‼」

「…ぁっ‼御免っ‼」


…ザンッ‼︎


そこには白刃をきらめかせ切腹をした男の首を切った1人のおなごの姿があった。そして‪一時‬、月の光を雲が邪魔し、周りは闇に包まれた。


その闇が晴れた時、血塗れの刀を片手に持っていたおなごは…


月に反射し、群青の空の星の如くきらめく鱗。

まるで雄鹿の様な猛々しく立派でありながら美しい角、

赤く血のような眼を持つ化け物になっておった…

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