第133話 穏やかなな幕間
翌日、遅まきながらも朝食の席に現れたゼノに仲間から温かい声がかけられた。
『おはよう、ゴッドおじさん!』
「変な呼び方は止めろー! 俺は人間らしく生きて人間として死にたいんだ」
「大丈夫ですよ、貴方はもう2度と神や天使になる事はありません。もちろん研鑽して身につけた黄金の状態にはなれますが、フェリシアの使うスーツを纏う術よりも強力な程度で、いくら使っても人間を止める事にはなりませんよ」
「よしっ!」
「やりぃ!」
何故か言われた当の
「うん? なんでサリアが喜んでるんだ?」
「当然だろ、オメーが強くなったってんなら戦闘訓練の対戦相手が増えるってこった、あんだけ出鱈目な出力持ってんだからよ、普通に戦うだけでもアタシ等よりハイスペックな身体能力だろうからな、やっぱ戦うなら前みたいなザコ状態じゃなくて同格以上の相手じゃねえとな」
「いやいや無理だって、よく考えてもみろ。俺がああなったのは通常の黄金モードだけじゃなくて、7色草とかを全部吸収してブーストをかけまくったからこそ先日のハイパワーが出せたんだよ。元が1とか2のオッサンがパワー10倍になっても、お前等みたいに素で200や300出せる戦士とまともな訓練ができるわけないだろうが」
「ちぇーっ」
「サリア、病み上がりでなくてもゼノに無理を言ってはいけません。ゼノはもう、戦える体ではないのですから」
『えっ!?』
「よっしゃ」
ラケルの言葉に全員が驚き、戦えない体になったと言われた本人だけが喜んでいた。
「魂の問題なので詳しい説明は省きますが、ゼノはもう2度と武器を持って戦う事はできなくなっています」
小城のダイニングを暗い雰囲気が覆う中、ゼノとラケルだけが変わらず食事をとったりイスに座っていた。
解散するまでの間、ゼノが話しかけても困惑して誰も何も話そうとはしなかった。
本人は最高に喜んでいるのに。
「解せぬ」
△△▽▽◁▷◁▷
「俺が寝てる間に出国して、今はドワーフの国に向けてドーガンがサンカイオーを運転してると」
「はい、そうです」
ゼノに俺の分まで戦闘は任せたと言われたジュディス等4人は張り切って地下の訓練空間へと向かい、ラケルとウーリロは作物の世話があるからと畑に向かい、小城のリビングには戦闘不能になったオッサンと、そんなゼノにベタ惚れなミラだけが残り状況の説明を行っていた。
「ああそうだった、忘れてた」
「どうしたんです?」
「亜空間の地下への階段を塞いだままだったし、地下には収容した魔物がそのまま残っているのを忘れててね。今魔物を吸収して階段を作って通路を開けただけだよ」
「そうだったんですね」
「草とか魔物をかなり吸収したから亜空間もかなり広くなったし、今度は自然まで自由に作れるようになったから安全なキャンプやピクニックもできるし、その内みんなで遊びにいこっか」
「はいっ!」
昼食のためにドーガンが戻ってくるまで、ゼノとミラの2人は初めてのキャンプやピクニックについて、あれこれ想像しながら話しを膨らませていた。
彼等にしては実に珍しく穏やかな午前を過ごしていた。
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