『2』
誰が想像出来ただろうか?
いつもの通学中、魔方陣に吸い込まれてしまうなんて、誰が想像出来ただろうか。
ましてや
「こ、これって……い、いせかいキターー!」
「「れおんちゃんっ!?」」
訂正。適正はある模様だが、それはさておき、当然、無防備だった麗音はまんまと吸い込まれ、魔方陣と共に桜と舞の前から姿を消してしまうのだった。静まり返る桜並木道。
あまりに突然の
「れおんちゃんがしょ〜かんされちゃった!」
「しょ〜かんキターー、だねぇ!」
通学路には何事もなかったかのように桜の花びらが舞うのだった。
——
一方、吸い込まれた麗音は絶賛絶叫中である。
「びえぇぇっ!?」
黒い
「ぴやぁぁぁぁぁぁっ!?」
絶賛絶叫中。
暫く落ちると麗音の視線の先に光が見えてくる。
「ぴぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
まもなく小さな身体は光に吸い込まれて謎の空間から消えた。それと同時に、光の
——
【とある魔界の住宅街】
石造りの建物が建ち並ぶ
大きな単眼の
一見常軌を逸した少年もここ、魔界では大して珍しくもないサイクロプスという種族だ。少年はボロ切れのようなシャツと破けた短パン姿。
「……皆んな、食事にしようか」
「サイにいちゃんだ……!」
「サイにいちゃんが帰ってきた!」
子供達は自分達よりも一回り大きなサイプロクスの少年に我先にと飛びついた。
「ほらほら、押さないで皆んな、よしよし」
サイは優しく子供達を諭すと持っていた袋から缶詰を取り出し封を開けた。美味しそうな魚の味噌煮のようなモノが露わになるが、
しかし、子供達はシュンとしてしまった。
「ま、また缶詰……?」
「我慢しておくれ。今は仕方ないよ。また明日、生きている仲間を捜しに行く。その時に食料も見つけてくるよ。もしかしたら大人が生き残っているかも知れないし、それまでの辛抱だよ。だから今日はこれで許しておくれ?」
「サイにいちゃん……ごめんなさい、ワガママ言って……うぅ」
「構わないよ、僕だって……また母さんの手料理が食べたい。僕だって……同じだよ」
サイは子供達の頭を優しく撫でてあげた。子供達はくすぐったそうに身をよじらせながらも彼の優しさに身を委ねる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます