第21話 宝物の回収
ダンマスと別れた後、少し仮眠をとって温かい食事を食べ、朝の冒険者の来訪を息を殺してかい潜った。
とりあえず人がいなくなったのを確認。
ダンマスが戻ってきていたら話がしたかったので、また隠し部屋に入った。
この部屋に入るのは7回目。
ダンマスは呼びかけてもまだ現れず、残念。
宝物より本当はダンマスと話がしたかった。
とはいえ、宝物を毎回回収して思った。
私もう自分で学費払えるんじゃない?
2回目は宝石付きの豪華なネックレス、3回目はザクザク金貨、4回目は白紙の本(でもグリモワールではない)5回目がザクザク金貨、6回目がザクザク宝石、で7回目。
「スキルスクロールかぁ」
使うかどうかちょっと考えた。
私のスキル習得大というスキルのおかげで、私は教えてもらうだけでスキルがすぐに習得できる。このスキルスクロールを他の人に使ってもらって、その人から方法を学べば私にもそのスキルが発生するはず。
つまり1つのスクロールで2人習得できるのだ。
でも結構な特殊スキルなんだよね。その名も、調味料作成。
これを使うべき人って、やっぱりいろんなところに行っていておいしいものをたくさん食べている人や研究熱心な料理人がいいと思うんだ。だから、信頼できるけど母さんだとちょっともったいない。
まぁこれも出会いがあるまで置いておこう。
それから3回入って、8回目ザクザク宝石、9回目ザクザク金貨、10回目が笛。
この笛が『召喚の笛』というもので、その人の力に応じて召喚獣が来てくれるそうな。実力の有る無しがバレちゃう奴だ。
どうやらわかったのが、ザクザク金貨とかはハズレで、1個だけ入っているものが当たりみたい。
2回目のネックレスは『魂繋ぎのネックレス』という生命の危険に晒されてもギリギリで維持できる優れもので、死にかけて治療できない人がいたらそのネックレスをかけて治療できる人が来るまで待てばいいのだ。
ただ、複数いたとき私はどうしたらいいんだろう?
そんな目に合わないことをただただ祈るばかりだ。
あと白紙の本。これも使い方がわからない。鑑定しても名前も出ない。2時間ごとにマメに入っているのはダンマスに教えてもらいたいから。そろそろ冒険者も帰宅しなくなったので安心できるし。
別に隠し部屋の事にかかりきりだったわけじゃないよ。
他にやってたのはスライム膜の研究。スライム液を飛ばした後、膜を乾燥させたり、加熱したりした。もう少し強度が出れば色々使えると思うんだ。
思っているのは手袋を作ること。
洗い物をやっていると手に小さな傷ができて、水を触るたびに痛いんだけど、この膜で手袋を作れば防水だから手傷に水がしみないはずだ。
いくらでも手に入る安い素材の手袋。洗濯屋のおばあちゃんがいつもつらそうなのでぜひ作ってあげたい。
錬金術師がこういうのを作る仕事なら私は喜んでなるよ。
さぁ次だ、今度は水の中で煮てみよう。ふつうの水と私の魔法で作った魔法水で試してみよう。
そうして鍋で煮込むと、水はすぐに溶けてしまったけれど、魔法水の方は少しだけ強くなった。
やったー!
でもハサミで手の形に切るとやっぱり破れてしまう。よく考えたら、縫い目から染み出すのかもしれない。
まだまだ研究結果が足りないな。
そろそろ2時間経つ頃だ。ダンマスを求めて隠し部屋に入ろう。
一応用心のため片付けていると、ボス部屋の奥からものすごい勢いで誰かが走ってくる。
しまった。
やっぱり私がいることがバレていたんだ。
魔獣より人の方が怖いなんて……。
かなわぬまでも、一矢報いてやる!
私は休憩所の入り口すぐの岩陰に身を隠し、短剣を鞘から抜いて息を殺して足音の主が来るのを待った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。