第20話 ダンマスとの話
とりあえず休憩所に戻った。まだ体が痛い。もうちょっと休んでも痛いようならポーション追加しよう。
あと2時間ぐらいしたらダンジョンから帰る冒険者たちが出てくる。
怪我とかさえなければ1階層まできたら、危ない魔獣はいないしそのまま外に出てってくれる可能性が高い。
朝私の事に気が付きかけたリンクという冒険者がまた見に来たらどうしよう。
でも今日は来ないと思う。
このダンジョンは10階まで行くとすごくドロップがよくなるんだもの。
強い冒険者なら2日で踏破出来るから明日の晩は危ないかもしれない。
とにかく、奥の隙間で干し肉と固焼きパンを食べてじっとしていることにした。
気が付くと私は眠りに落ちてしまっていた。
目が覚めると、辺りはシーンと人気が無かった。
あれからもう4時間も経っていた。たぶん帰宅する冒険者の波は終わってしまったのだろう。
それにしてもやっぱり疲れていたんだな。本当なら起きてないといけなかったのに、無理だった。でもまぁとにかくしばらくは人が来ないだろう。
自分の体が動くことを確認してもう1度、隠し部屋へ向かった。
魔法陣の位置を確認するために鑑定を使うと、位置が変わっていた。
他の武器で魔法陣を叩いてみても全然開かず、結局採掘用ハンマーでたたき、中に入る。
そりゃ魔法陣の場所は変わるし、あの特殊なハンマーでしか反応しないなら、見つからないよね。
同じように万能カギで宝箱の鍵を開けると、金属のスライムが飛び出した。1度戦ってるので迷わずつるはしの方で倒し、ふたを開けた。
入っていたのは大ぶりの宝石のついた豪華なネックレスだった。
「ダンマスいる?」
『はい、います』
「これでしばらくお話しできるね」
『ええ、わかることでしたら何でも聞いてください』
「さっきもらった宝物なんだけど、どうやって使うかわからないの」
私は初めにもらった7個の宝物を取り出した。
全部丸い形状の容器に何かが入っているようなのだが、鑑定しても見えないので不用意に開けて大丈夫なのか心配だったのだ。
『カプセルは開けても大丈夫です。わからないものはご説明しますよ』
1つ目を開けると、中身が飛びだしてきた。結構大きい。鍋?
『錬金窯です。どこにでも設置できますし、マジックアイテムなので大きなものも入ります。ポーションや魔道具を錬金するときに便利ですよ。あっ、言い忘れていました。初回特典はその人の職業に合わせた装備になるんです』
カプセルという容器はいつの間にかなくなっていた。
2つ目、なかから緑色の卵?が現れた。
『魔獣の卵です。あなたの従魔になりますよ。初討伐記念の卵なので★5以上が確定です』
「ほしごって何?」
『★は夜空に瞬くあの星ですよ。★の数が多いほど、つよい魔獣が出てきます。愛情込めて育てると従魔の親愛度と忠誠心が上がりますので頑張ってください』
「ねぇ、強すぎて私では抑えられないことはないの?」
『もちろんありますね。だから愛情が必要なんです』
「どうしよう、ワームだと愛せないかもしれない」
『★5以上にワームはいません。それにワームだって慣れればかわいいものですよ』
「そうなの?この間、食べられそうになってとてもそうとは思えない。っていうかダンマスは魔獣が好きなの?」
『はい♡大好きですよ。全部ではありませんが私のダンジョンコアからも生まれてきますし、生き物が生まれて育つさまは面白いものです』
3つ目、ペンが出てきた。
「なんかしょぼい?」
『しょぼくありません!それは魔法陣をどんなものにでも描けるペンなんです。水や炎の上にも描けるんですよ』
ごめん、ダンマスえらく怒ってるな。それだけいいものなんだろう。
水や炎に描く必要性が今のところないけど、勉強していくうちに出てくるのかな
4つ目、皮と金属で装丁された美しい本が現れた。
『おお、グリモワールですね。それはあなただけの魔法書です』
そう聞いて真ん中あたりを開けて見た。
「何も書いてないわ」
『そんなことはありませんよ。最初の方を見てください』
言われるがまま見てみると、私の覚えたウインドカッターやウォーターのようなみんながよく知ってるの魔法が載っていた。オークやスライムの体液を外に出した魔法や魔獣の力を付与する付与魔法のように知っている魔法がところどころに書かれている。
『まだあなたが魔法使いとしてのレベルが低いために開示されていないんです。どんどん勉強して、研究すれば読めるようになります。新しい魔法を編み出したときもこの本に載りますよ』
それは素敵だ。勉強の楽しみが増えた。
5つ目、真っ白い石板。教会でジョブ判定に使われたものに似ている。
『おお、これもよいものですね。あなたの知りたいことを教えてくれるマジックアイテムですよ。ただし、ヒトの心のような移ろいやすいものはダメですよ。いや願えば出てきますよ。でもね、あなたの気持ちが反映して捻じ曲がることがあるんです。気を付けてください』
なるほど、便利なものほど危ないってわけね。
使わないで済むなら、使わないでおこう。
6つ目
『マジックスクロールですね。おめでとうございます。黄色ですので土魔法が使えますよ』
「ねぇ、これっていますぐ使わないとだめなの?」
『いいえ、でも使えると便利ですよ。攻撃力も上がるし、錬金にも役に立ちます』
「うーん、この間、見てもらったときに水と風と無属性だったのが突然土魔法も出来たらちょっとなぁ」
『わたくしにはわかりかねますがあなたさまのご都合の良い時にお使いになればよろしいのでは?なんなら他の人に差しあげてもいいのですよ』
「うん、考えておく」
7つ目
うん?あかない?
『ああ、それはあなたの能力がまだ達していないので開封できないんです。大事に取っておいてください』
はい、もう素直に言うこと聞きます。
「ダンマスありがとう。あなたのおかげでいろいろ悩まなくてすんだわ」
『いいえ、どういたしまして。私もいろいろお話しできて楽しかったです。これからも2時間ごとにメタルスライムが
「うん、また話せる?」
『上の存在――運営というんですが、メンテナンス――修繕のようなものをするのでわたくしは出てこられません。しばらくすれば戻ってきますがはっきりいつとは申し上げられないんです』
「そっか、残念だけどしようがないんだね」
『それと気になったのですが男装をされているのに時々女性言葉が入りますよ』
「えっ、そうなんだ。ありがとう、気を付けるね」
それから2時間ごとに隠し部屋に入ったが、もうダンマスは現れなかった。
「もっといっぱい聞いとけばよかったなぁ。ゴミ問題とかも」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。