修学旅行 ⑨
昼食を食べ終わった後はまた移動である。
北海道は広いというのもあって、結構移動距離もいつもそこそこ長い。
バスで移動してついた場所は、道の駅や公園が併設しているエリアである。まずは滝を見に行く。
少し歩かなければならなかったけれど、わいわい喋りながら向かったのでそんなに時間がかかったようには感じられなかった。
滝の流れる音を聞いていると、なんだか心が落ち着く。
写真を撮ってもらって、それを花音へと送る。花音からはすぐに返事がきた。
花音の写真が送り返されてきた。学園でクラスメイトに撮ってもらったみたいだ。
その写真を見て、思わず笑みがこぼれる。それと同時にやっぱり早く会いたいなと思った。
修学旅行は楽しいけれど、うん、花音は俺にとって特別なんだなって修学旅行でちょっと離れただけで実感する。俺は花音とずっと一緒に居たいんだなって、離れているとこんなに寂しいのだなって、そう思うのだ。
滝を見終えた後は、近くにある観光地の公園に向かった。
そこは間歇泉が吹き上げるところが見れるという、あんまり見たことない場所で俺はちょっと興奮した。
「あれ、楽しいな」
「うん、興奮する」
そんな会話をゆうきとかわした。
あとはその公園には足湯も併設されていたので、足湯につかってみたりもする。五月とはいえ、少し肌寒いので、こういう足湯につかると気持ちが良かった。
視界にははしゃいでいるクラスメイトたちの姿も見える。
ちょっと離れた位置で男女二人で会話をしている様子とか……ちょっと顔が赤く見えるから、もしかしたらこの場で告白していたりとかするんだろうか。
「修学旅行はカップルが沢山出来そうだな」
「……喜一、それは喜一と天道さんの影響も明らかにあるからな?」
「そうか?」
「うん。だって喜一と天道さん、学園でも凄いいちゃついているし。修学旅行中も散々天道さんのこと、喜一はのろけているし」
そんなことをゆうきに言われた。
確かにまぁ、惚気てしまったりはしていた気がする。だって花音が居ないことが正直言って寂しいから。
こうやって修学旅行での思い出を作れるカップルたちがちょっとうらやましいとも感じる。
その後、近くの商店街での自由時間があった。
ちょうど三時のおやつの時間でもあるので、ゆうきや倉敷たちと一緒にソフトクリームを食べた。
修学旅行中二回目のソフトクリームだったけれど、おいしかったので幾らでも食べられる気がする。あとプリンとかも食べた。
おいしいものがこのあたりも多いので、食べていると幸せな気持ちになる。
こういうプリンとかは、帰る間際に買えば花音へのお土産として持ち帰れるだろうか? 花音にも食べてほしい。
帰りは飛行機ではなく新幹線なので、駅で買おうかな。
そんなことをプリンを食べながら考えた。
商店街での自由時間が終わればまた移動である。とはいえ、近場に公園とかが点在してみたいで、そのスポットを巡る形だった。
色んな花が咲いていて綺麗な光景だったり、あとは海岸を一望できるエリアだったり――、このあたりはそういうエリアが多いみたいだった。
景色が良くて、風も気持ちよい。
そういう場所だからこそ、なんだか心が洗われるというか、すがすがしい気持ちになる。
俺はあんまり外に出たりとかしない方だけど、こういう気持ちよさを実感すると、出かけるのもいいなぁと思う。
綺麗な景色は何枚か写真におさめておく。
ちなみに夜明けとか、夕方とかだとまた違う光景が見られるらしい。きっと違う時間帯に来ても綺麗だろうなと思った。
そうやって見て回っているとあっという間に時間は過ぎていく。
楽しい時間だからこそ、修学旅行は過ぎていくのが早い。その後は今日泊る予定の旅館について、夕食を取る。
夕食も美味しかった。魚もお肉も美味しくて北海道っていいなぁと思った。あとうにとかも食べれたし。
夕食が終わった後、俺は部屋でのんびりしていたのだが、倉敷が気づけばいなかった。
しばらくして戻ってきた倉敷は、何処かそわそわした様子だった。
「どうしたんだ、倉敷」
そう問いかけたら、倉敷が少し照れながら言った。
「ええっと、郁子と付き合うことになった」
「おめでとう」
修学旅行中も良い雰囲気だったので付き合いそうだなと思っていたので素直に祝福する。ゆうきたちも祝福の言葉を口にしていた。
その後、倉敷たちと大浴場に向かう最中に三瓶と遭遇した。倉敷と三瓶はなんだか互いに照れて、うまく喋れないみたいな状態になっていたのだった。
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