デートという名のおでかけが終わって
「楽しかったですねー。きー君。楽しかったですよねー? 私はきー君と一緒にデート出来て楽しくて幸せだったですよー」
さて、カラオケが終わった後遅くなってきたからと俺と花音は家へと戻った。
……ちなみに花音は当たり前のように俺の家に帰宅していた。そのことに関しては最早当たり前のことになっているので突っ込みはいれないことにする。
それにしても本当に花音が傍に居るのが当たり前になっていると不思議な気持ちである。
「俺も楽しかったよ、花音」
「ふふふ、ですよねー。私とデートが出来て幸せじゃなかはずなかよね?」
花音はにこやかに笑いながら、家の中へと入り、ソファに腰かける。俺も出かけて疲れたので、隣に座る。基本的に一日中出かけるとかもしれないからな。やっぱり家が一番、落ち着く
「あ、お菓子、冷蔵庫いれましょうよー。要冷蔵のやつ!! チョコレート系は冷蔵庫いれなきゃやし」
そう言いながら花音は要冷蔵のものを、冷蔵庫に入れて、残りのものをキッチンのフックにかける。
「あ、きー君、何か飲み物飲む? なん飲みたか?」
「じゃあアップルジュース。多分あったと思う」
「んー、あ、あるよ。ちょっとまちーね」
花音はデートの影響でまだテンションがあがっているのか、ちょくちょく敬語が崩れている。方言らしきものもちょくちょく出ている。たまになんていっているか分からないが、ニュアンスで理解することにしている。
花音は「はい、どーぞ」と口にしてマグカップに注いだアップルジュースを持ってきてくれた。
「ありがとう」
「ふふ、よかですよ。私は沢山、きー君に幸せもらいましたからね」
そんな風ににこにこと笑った花音は、牛乳をごくごくと飲んでいる。そしてプハァと息を吐く。
「ふー、沢山うたった後の牛乳美味しいですよねー」
「そうだな」
「きー君、お兄ちゃんが来週来たら私の方がきー君と仲良しやって自慢すっからね? きー君も、私との方が仲良しって言ってくださいね」
「やっぱり変なところで張り合っているなぁ……」
「変なところではないです。重要なところなんですよー? 私の方がきー君と仲良しってお兄ちゃんに自慢したいんですもん。ね、いいでしょ?」
「はいはい」
俺としてみれば何でそんな風に張り合っているのかと不思議な気持ちになるが、花音がそうしたいならそれに便乗するのも楽しそうなのでよしとしよう。
こうやって花音に頼まれると断れない。というか、断ろうという気にならないので、花音ってやっぱり凄いなと思う。
「きー君、あのですねー。また、私と一緒にデートしてくれます? 私、きー君とデートするの凄く楽しかったんよ。だから、またデートしたかなって思っとって」
花音はのぞき込むようにこちらを見て、そう問いかける。
ちょっと恐る恐るなのは、断られるかなーと不安がっているのだろうか。
「ああ。別に構わないよ。俺も楽しかったし」
「やったー。じゃあ、また行きましょうね? 絶対ですよ? 私はきー君と行きたい場所が沢山あるんですよ。きー君と一緒に沢山思い出作りたいんですもん。また私がデートの企画練りますからねー? あ、もちろん、きー君とも相談しますよ」
「ああ。楽しみにしてる」
俺がそう言えば、花音は嬉しそうに、太陽のような明るい笑みを浮かべるのであった。
その明るく、無邪気な笑みを見ると、俺も幸せな気持ちになる。
しばらく花音と会話を交わして、俺は急に眠たくなった。
「きー君、ねむたか? 寝て、よかよ?」
隣に座る花音のそんな言葉を聞きながら、うつらうつらとなって、気づけば俺は夢の世界へと誘われていたのであった。
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