プレゼントの話
「なぁ、ゆうき、何をあげた方がいいと思う?」
学園が始まって、俺は教室で誰にあげるかというのを名前は出さずにゆうきに問いかける。
ゆうきも俺が誰にあげようと思っているのか分かるからか、楽しそうな顔をしている。
そういえばゆうきは文化祭で片思いの女の子と一緒に回って、色々進展はしたらしい。デートを取り付けたと喜んでいた。聞いている限り、順当に仲良くなっているようなのでそのうち付き合えるのではないかと思っている。
「何かプレゼントか?」
「ああ。世話になっているしな。でも何をあげるべきか分からないからなぁ」
「うーん、喜一があげたものなら何でも喜ぶんじゃないのか」
「んー、多分な。何でも喜ぶとは思うけど……図書カードとかでも喜びそうな気がするが、折角なら形があるもののほうがいいのかなと」
「そうだな」
教室でそんな会話をする。
花音なら正直言ってどんなものでも喜びそうだと思う。ありがとうございますと口にして、満面の笑みを浮かべる――そんな花音が簡単に想像が出来る。でも折角プレゼントとしてあげるものだから形があるものの方がいいのではないかと思うのだ。
とはいえ、女の子が喜ぶ形に残るものとは……と悩んでしまう。
「生活用品とか、文房具とかでもよさそうだし……あとはアクセサリーとかでもいいんじゃないか?」
「あー、うーん、そうだな。ちょっと考えてみる」
本当に花音は何でも喜びそうだから余計に悩むんだよな。折角なら喜んでもらえる方が俺も嬉しいし。
今度さりげなく何が欲しいか聞いてみるか? 花音と出かけるまでにまだ時間はあるし。
「上林君、誰かにプレゼントするの?」
気づいたら明知が近くにいて、俺たちに話しかけてきてちょっとびっくりした。
明知はにこにこと笑って、俺とゆうきの事を見ている。
「あ、ああ。ちょっと世話になっている人に何かあげようと思っているんだ」
「そうなんだ。その子は女の子なの?」
「ああ、そうだな」
プレゼントをあげる相手が花音だとは悟られてはいないだろうが、少し戸惑いながら返事をしてしまう。
「可愛いものが好きな子だったらぬいぐるみとか、小物とかでもいいと思うわ。上林君がそのことどれだけ仲が良いかが分からないから、あれだけど……。もらえるなら何でも嬉しいんじゃないかな」
「そうだな。参考にする。ありがとう、明知」
そうやって会話を交わしているうちに、次の授業開始の時間になった。
授業中に俺は花音に何をあげようかなとずっとその事ばかり考えていた。花音にはこうやってプレゼントをしたことはなかったし、本当に何をあげよう?
好きそうなお菓子とかを買ったりはしていけれど……。花音は可愛いものは普通に好きそうだし、何か可愛いグッズとかでもいいだろうか。本を読むのも好きだろうからしおりでも喜びそうな気がするけど……。
そのことばかり考えていて、教師にあてられた時に少し慌ててしまった。ちゃんと家で花音に習いながら復習していたところだから問題はなかったけれど。
休み時間に凛久さんにもどんなものをあげた方がいいかというリサーチをすることにする。凛久さんは俺が連絡するとすぐに返信がかえってきた。本当にこの人、返信はやいよな。
『花音なら喜一があげたものなら何でも喜びそうだが。そうだな。花音は結構サン〇オのキャラクターとかも好きだな。あとは花音ならどんな服でも似合うし、服でもいいと思う』
『そうなんですね。ありがとうございます。参考になります。でも服だと流石にサイズが分かりません』
『服のサイズなら俺が知っているぞ。もしあげるつもりなら教えるぞ』
『そうなんですね。じゃあもし服にするならいいます』
……妹の服のサイズって完璧に知っているものだろうか? 兄妹のいない俺には分からないが、もし服をあげるなら凛久さんに聞こう。
それにしても花音へのプレゼントの事を考えていると、本当に花音と出かける日が迫ってきているんだなと不思議だ。花音は俺のことを楽しませると言って、どこに行くかは一切教えてくれていない。
花音がどんな場所に俺を連れて行ってくれるのかというのが楽しみでもある。花音が俺のことを楽しませようとかんがえてくれている分、俺も花音を喜ばせたいなと思った。
……花音のことを考えていたら花音からも連絡がきていた。
『きー君、今日の夕飯はうどんにしません?』
『いいけど、急にどうした』
『美味しそうなうどんの画像を見たのです!』
うどんの画像を見たらしく、急にうどんを食べたくなったらしい。うどんは花音が購入してくるといっていた。今日の買い物は花音がしてくれるらしいので、俺は真っ直ぐに今日は家に帰ろうと思う。
ついでに購入してほしいものがあったか考える。確か飲み物が少し減っていたはずなので、花音に飲み物も買えるかと聞いておいた。
花音はすぐに『はーい。買って帰ります』と返信をしていた。
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