文化祭の翌日

 文化祭の翌日、朝から良い匂いがして目を覚ます。今日も毎週二人が泊まる時のように三人で布団に寝転がって眠った。



 起きた時の時間は、まだ六時台だった。というか、花音も凛久さんももう目が覚めていて早いなと思った。



「おはようございます」

「おはよう、喜一。すまないな。起こして」



 凛久さんは俺を朝から起こすつもりはなかったらしく、申し訳なさそうにいう。そうか、俺と花音はこのまま休みでゆっくりできるけれど、凛久さんはこれから大学だからななどと思う。




「あ、きー君、おはようございます!! きー君、ご飯食べます? 昨日の鍋の残りと、あとはきー君が買ってきてくれたハム焼いただけですけど」

「ああ。食べる」



 花音は朝からご機嫌な様子で台所に立っていた。花音はにこにこと微笑みながら、昨日食べた鍋を温めているようだった。



「凛久さんは今日も大学なんですよね。何時からですか」

「一限からあるから9時にはつきたい。7時半には出るよ」

「俺の家からだと結構時間かかりますもんね」



 そう言いながら凛久さんと同じ大学を目指すのならば、通学時間に時間がかかるだろうなと思った。

 もし凛久さんの大学の近くに家を構えるなら花音とはお隣さんではなくなるわけで、そうなると少し寂しいなと花音がいる暮らしになれてしまっている今は考えてしまう。



「きー君、どうぞ」



 花音にそう言われて、俺は花音がよそってくれた鍋やご飯を食べる。三人で朝からパジャマ姿のまま食事を取るのも楽しい時間なものだ。




「きー君、美味しいですね」

「ああ。美味しいな」

「花音が準備してくれるとより一層美味しいよ」



 凛久さんはそんなことを言いながら朝から嬉しそうにバクバク食べている。

 朝ごはんを食べ終えた後は、凛久さんは大学に向かう準備を始めていた。俺と花音は今日は休みなのでのんびりしている。



「昨日のお兄ちゃんとのデートはどうでした?」

「……デートじゃないだろ。男同士だし。普通に楽しかったよ」

「そうですか!! では、きー君、私ともデートをするのは忘れていませんよね?」

「ああ。いついく?」



 花音はもう俺と出かける気が満々なので、花音がちゃんとバレないようにしてくれるのならば出かけることには異存はない。



「そうですね。ちゃんとデートの計画を建ててからにしましょう。私はきー君と折角のデートを思いっきり楽しむために、きー君も楽しめるような計画を練りますから楽しみにしておきましょうね。来週の土日は開けといてくださいね? どちらかでデートしましょうよ!!」



 俺と出かけるというそれだけなのに、花音は俺と出かける計画をきっちり練るらしい。どれだけ楽しみに思っているのだろうか……。まぁ、花音なら俺の嫌がるようなことにはしないだろうし、楽しそうなので花音にお出かけ計画は任せることにする。



「だからお兄ちゃんも来週はこんでね!! 私はきー君と一日中遊ぶけん。お兄ちゃんおったら楽しかけど、たまには二人でのんびりしたかもん」

「……花音の頼みならいいだろう」



 って言いながらちょっと不満そうな凛久さんであった。



 その後、しばらくしてから凛久さんが大学に向かう時間になり、「いってらっしゃい」と俺と花音は凛久さんを見送るのであった。凛久さんをいってらっしゃいと見送るのは不思議な気持ちである。



「じゃあ、きー君、私はちょっと色々計画を練りますから!!」

「おう」



 花音は早速来週のお出かけ計画を練るらしいので、俺はスマホでゲームでもすることにした。




 しばらくゲームをしている間、ずっと花音は楽しそうだった。鼻歌を歌ったりしながら本当に心の底から楽しそうである。俺も花音を楽しませるために何かしら準備していたほうがいいだろうか?



 どこにいくかは花音が決めるとしても、何かプレゼントでもあげようかな。ゆうきに相談してみよう、などと俺は考えるのであった。


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