文化祭の催しとスマホの写真
体育祭の練習をしている段階だが、同じ学期に文化祭もあるので、先にそこでどんな催しをやるのかだけ話し合いをすることになっている。もちろん本格的な準備は体育祭が終わってからだけど。
「では、外でチョコバナナを売るということで」
俺のクラスは外の屋台でチョコバナナを売ることになった。
クラスでやることが決まった教室でスマホをいじる。
……この俺のスマホの中には、花音の写真や花音とのツーショットがある。こんなの他人に見られるわけにはいかない。教室で写真を見るのもやめておこう。でも花音が嬉しそうに撮った写真を消すのもなとそのまま俺のスマホに残っている。
そういえば凛久さんに花音の写真を送ったら喜ばれたのだが、花音が俺とのツーショットも送ったらしく、「俺も花音と写真撮りたい!」とめちゃくちゃ連絡が来た。花音は可愛い、花音と写真を俺も撮りたいといった連絡が沢山届いて俺は驚いたものだ。凛久さんは返信もはやいし、暇なのだろうか?
花音にそのことを言ったら、「お兄ちゃんはきー君のことを気に入ってるんですよ。気に入っているからなんだかんだ連絡するんです! でもきー君とお兄ちゃんの方が仲良しって嫌なので、私も沢山連絡しますね!」と言い出して、花音からもどんどん連絡が来ている。大体が他愛もない連絡ばかりである。
……何で花音は凛久さんに張り合っているのか謎である。
花音にチョコバナナのお店を文化祭でやることを教えれば、すぐさま「じゃあ当日は買いに行きますね」と連絡が来た。花音のクラスは、劇をやるらしい。まだどんな劇をやるかとか、役も決まってないらしいが、クラスの雰囲気では主役級の役になりそうだということだった。
『主役を演じることになりそうなので、私は完璧にこなしますよ!』
『まだ決まってないだろ』
『でも私は可愛いからきっと主役級です。きー君も見に来てくださいね』
花音の無邪気な連絡に『見に行く』と送れば、花音から嬉しそうな連絡が来た。
「喜一、体育祭も文化祭も楽しみだな」
「ああ。チョコバナナ、試食も出来るかな……」
「気になるのはそこかよ……。まぁ、普通に試食はあると思うぞ」
甘いものが好きなので、チョコバナナの試食が楽しみになった。というか、文化祭も自由時間中は美味しいもの食べに行こうと決意する。クラスのチョコバナナも食べよう。
……ああ、でも花音の劇を見たいから休み時間の希望は後々出した方がいいだろう。花音の劇だと見たい人多いだろうからどうなるか分からないけど。
それにしても文化祭っていいよな。美味しいものも盛りだくさんだし、俺の好きな甘味もいっぱい出されているだろうし。体育祭も楽しみだけど、文化祭の方が俺は楽しみだなと思った。
今日は何をするかだけ話し合いをするだけだったので、細かい部分は後々決めていくことになるだろう。
放課後はまた体育祭の練習に明け暮れている。
体育祭の準備を一緒に行っていると、今まで話したことのなかったクラスメイトたちとも仲良くなることが出来た。
「優勝目指して頑張ろうな!」
倉敷はクラスメイト全員にそういう激励の言葉をかけているらしい。うん、こうやって声をかけるからこそ倉敷は人気者なんだろう。
黙々と体育祭の練習をしている俺を見て、「真面目にやって頑張ってるな」と気さくに声をかけてくる。
少し前まで花音に誘いを断られたと落ち込んでいたが、今はすっかり元気を取り戻しているようだ。……倉敷は花音に好意を抱いているみたいだから、花音と仲良いのバレないようにしよう。あと花音の写真の存在もバレないようにしないと。
俺は倉敷と会話を交わしながらそう考えるのであった。
――そして、まもなく体育祭が行われる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます