食後

 天道と夕食を取った後、俺はまたギャルゲーの続きをやることにした。天道はしばらく俺の横に座ってゲームを見ていたのだが、しばらくしてから飽きたのか「漫画読んでもいいですかー?」と問いかけてきて、漫画を読み始めてしまった。



 ソファに横になって、漫画を読んでいる。……年頃の娘がスカートはいているのに男の家で寝転がって無防備になるなよと思ったものの、口に出したらまた「お父さんみたい」などと言われそうな気がしたので口に出すことはしなかった。

 確かに天道よりは年上だけれども一つしか変わらないわけで、お父さんみたいなどと言われるのはショックを受けるものなのだ。



「このキャラはですねー」




 ちなみに天道は漫画を読みながらも、俺のやっているギャルゲーをちょくちょく見ていてコメントしたりと忙しそうにしていた。



 本棚に並べてあった少年漫画(全10巻)を持ってきて1巻から天道は読んでいるらしい。ソファで寝転がりながら、自分の家にいるかのようにくつろいでいる天道を見ると話しかけられて三日目な気が全くしない。なんというか、天道が押せ押せな感じでこちらに接してくるので昔からこんな感じな雰囲気さえある気がする。

 興味本位で遊びに来ているだけだろうし、飽きたら遊びに何て来なくなるだろうと思うと、少しだけ寂しい気持ちにもなる。



 ……天道、やばいな。話しかけて三日でこんな気持ちに人をさせるとかいろんな意味でヤバい気がする。学園では聖母のよう~とか言われているからそんなイメージ壊したくないとか言っていたが、素でも十分学園の人気者になれると思う。

 まぁ、天道がいつ俺に興味を無くすかは分からないが、滅多にない経験だと思って楽しんでおこうと思う。



 俺はギャルゲーに熱中し、天道はギャルゲーの事を口にしたりしながらスマホをいじったり漫画を読んだり自由にしていた。一つルートをクリアしおえ、満足して天道の方を振り向いたら、天道は寝ていた。

 漫画を開いたまま、ぐっすりである。



 ……マジかと驚く。

 本当にこの後輩はどれだけ無防備なのだろうか。こんなに無防備にしていたら色々な危険な目に遭う気がすると心配な気持ちも湧いてくる。




「おい、天道」

「……ん~」

「天道……」


 気持ちよさそうにあおむけで眠っている天道はだらしなく、足をソファから落としている。

 天道、天道と何度も名前を呼ぶ。




「……どーなつ」

「天道」

「大きかどーなつ……」


 天道は起きる気配がない。



 ……どうするか? 眠っている天道の顔を見る。相変わらず整った顔立ちをしている。あとあおむけで眠っていると、大きな胸が強調されている。って、何を考えているんだ。

 起きないし、天道の家は隣だが送り届けるわけにもいかないだろう。勝手に入るのは駄目だし……、そう思いながらまた声をかけるが起きる気配がない。




 ……俺は小さくため息を吐くと、仕方がないと掛布団を持ってきて天道にかぶせておいた。

 それから眠くなるまでギャルゲーの続きをやって、自分はベッドで眠るのだった。

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