第16話51-53

製氷機で固まったチューペット

出番のないタンクトップ

蟲籠には迷いイナゴが跳ねる

空蝉は確かに耳鳴りとも残響になる、懐。

季節はときを動かす

冷や飯も飽きた 火加減も降(くだ)らない

くしゃみした明日の風に巻かれ、

金魚は楽に泡沫を吐いた。

【微温】



一夜の夢でも、匕が隠された。

ときに天地が曖昧に彼方で被われる、

幸を満たす。銀色の月の下。

流星群にうたれて泣いた事、

太陽はつらを隠し星屑が躍る。ほんの少し、

猶予をくださいませ 併せて頂きたいのです

星祭でも星供(ほしく)も無い空(から)、

今酔いに未だ宵と待て射る

【星月夜】



告げ口に添い寝して。


小声で囁いた閉鎖的空間

大きく響き渡り胸に留めた

耳打ちした唄は移り変わり

草原を広がる風に成りたい

沈黙する地表は枯れ朽ちて

埋められた種は芽吹く時

秘めた彩葉 雪を被りても


言いがかりはよしてね

どきどきするから

【春の密告】

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