第9話26‐29

騒がしいだけの細流

(せせらぎ)

足先に跳ねる

冷たいだけの、火影

(ヒカゲ)

嗚呼、

おもわず。

微笑んだのに

陽に刺され

眩んだ あなたに

誘われた空、あおぐ

【片翼】





延長コードをどこまでも繋いで

真っ青な電動自転車に乗る

らくらくとふたりだけの

旅に出る

幸せが欲しかった

終わりが欲しかった

どこまで行っても見つからない

あの日のかくれんぼ

忘れ物は初めからなかった

【昴宿】




いかがわしい芳香に

暗闇でまさぐり合う

あっちもこっちも

手をつけては

仕舞いイカサマ

朱に穢れて一閃弾いた

弾丸は屹度玩具の硝子珠

鈍鋳ろに化楽反応を犯した

簡単な方法 眼を壊せば、

【如何 様】




小瓶には雑草花

誰にも気づかれなかった。

可愛らしい色は摘まれ

誰もが知らない静寂を

賑やかに戦がせる

ざわざわ、わざわざ、と。

開かずの扉 あわせ鏡

風馨り、懐かしい泪と虹が


【狐の嫁入り】










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