狂気

海月ななり

『同棲』

 私の名前はアミ。

 現在イケメンの彼と同棲中。

 彼はなんでもできるのよ。

 仕事、炊事、洗濯、掃除。

 全部、彼がやってくれるの。

 対して私は彼に愛を与えているだけ。

 ふふ、これじゃあまるでだめな彼女ね。

 でも大丈夫、彼には私の愛が必要だから。

 私は彼に愛を与え続けているのよ。

 それに、結婚したら私が全部代わる予定なの。

 きっと良い奥さんになれると思うわ。

 今日も彼は朝早くに仕事に出かけたけれど、私は彼がいない間、彼がせっかく綺麗にした家を出来るだけ汚さないように使っているの。

 彼の負担を増やさないようにしているのよ。

 なかなか良い女でしょう?

 ああ、今日ももうすぐ彼が帰ってくるわ。

 あら?いつもより靴音が多いみたい。

 お友達でも連れ帰ってきたのかしら。

 あっ、ちょっと、やめてよ!

 勝手に私の部屋の扉を開けないで!

 私の腕を離してよ、痴漢!!

 どこに連れていくのよ!

 ここは私と彼の愛の巣なのよ!?

 貴方、助けてちょうだい!











 あれ、え…?

 どうして、貴方までそんな顔をするの…?

















「なあ、今日のニュース見たか?」

「見た見た、ストーカー女の話だろ?怖いよな〜」

「何日も押し入れに閉じこもってたとかもはやホラーじゃね」

「それ。危険ってどこに潜んでるかわかんねえもんだな」

「俺も家帰ってから押し入れ確認するか」

「ははっ、お前のストーカーする奴なんていねえだろうが。鏡見ろ、鏡」

「そんなもんわかんねえじゃんか〜」


















『ワタシハイツデモアナタノソバニイルワ』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る