シンプルな犯人当て小説

安茂里茂

部室にて(イントロダクション)

プロローグにかえて

「先輩、ちょっとこれ読んでくれませんかね」

 放課後、部室に入った僕はそう言いながら、手に持っていた数枚の原稿用紙をせんくら先輩に手渡す。

「……これは?小説みたいだが」

「はい、加波志かはしくんが書いた小説なんです」

 加波志くんは僕の同級生で、文芸部に所属する男子だ。

「へー………犯人当て小説か。もしかしてわざわざこの部のために書いてくれたものとかじゃないよな?」

「あーどうなんでしょう?まあ、僕がこの推理小説研究会に所属しているって言ったら、面白がってこれを書いてくれたんです」

「そうか。……じゃあ、この部活に対する挑戦状みたいなものかな」

 仙ノ倉先輩はさっそく読み始めている。

「あ、それ最後までないんで注意してくださいね。最後のページは、読者への挑戦のところで終わっているんで」

「そうか。じゃあ、犯人は誰かっていうのをその加波志っていうやつに聞かなきゃいけないのか」

「そうです。僕もそれ読みましたけど、答えは知らないんで。なので、ぜひとも先輩も解いてください」

「……ああ、まあいいけど」

 仙ノ倉先輩は、その原稿用紙をじっくりと読み始めた。


 というわけで、これからみなさんにもその犯人当て小説を読んでもらいます。是非皆さんも犯人は誰か、当ててみてください。ちなみに、とてもシンプルな犯人当てだから、難しく考える必要はないって加波志くんは言ってました。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る