『ヒューマロスト』

波ノ音流斗

序章 『ヒューマロスト』

 突如として、人が怖くなることがある。


 人との会話中、

 家族との食事中、

 高校の授業中⋯⋯。


 みんなで一緒に、何気なく一時を過ごしている状態で、


 急に人の声が聞こえなくなる。


 人の声が、聞けなくなる。


 なんでなのかは、未だはっきりしていない。


 科学的根拠もくそもない。


 それは突然現れるのだから、証明も科学的な考えもまともにできやしない。


 対策さえもままならない。



――『ヒューマロスト』


 人々はそう呼ぶ。その名の通り⋯⋯人を失う病だ。


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