第10話
家に着いて、パソコンを開いた、が電源は付けない。ただ真っ暗な画面にぼんやりと映る自分が情けない顔をしてこちらを見ていた。
存在に気づかない。そんなことがあり得るんだろうか、いやあり得ない。なぜかって、この僕が気づいてるんだから。じゃあ、なぜ学校のみんなや家族の人たちは、?
頭を巡らせていると、ふとこの前読んだ本の内容を思い出した。立ち上がってその本を取りに行った。『半透明人間』。僕はこの本を最後まで読めていない。というのも、バッドエンドストーリーだからだ。冒頭でも言った通り、僕はバッドエンドが好きではない。だから途中で読むのをやめた。その証拠に栞が挟んだままになっていた。
ちょこんと顔を出している付箋が付いてるページを開く。「『半透明人間』は不完全人間の一種である。」鉛筆で線が引いてあった。僕から見たサヤは、半透明人間、という表現がすごくしっくりきた。ノートを開いて万年筆を取り、言葉を綴った。
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