花火で遊ぼう!(8)
「遊び方を間違えなきゃ、楽しいおもちゃではあるんだけどな。ピーッて音を立てながら、さながらロケットのごとく派手に飛んでいくのは、見ていて楽しいからね」
「お祖父ちゃんが子供のころは、一升瓶を寝かせて、その中へ飛ぶように花火を置いて遊んだもんなんだが、よく考えるとまともな楽しみ方じゃないよな」
「え。お祖父ちゃんが子供の時からロケット花火があったの? すごく長生きさんだねー」
というミオの反応を見るに、どちらかと言うと、この子はロケット花火を遊ぶことよりも、その歴史の方へ興味が移ったようだ。
「歴史を
「親父、それって
「ノロシ?」
聞いたことのないフレーズが次々と出てきて、ミオの頭の中でぐるぐる回っているようだ。
幼い子でも理解できるよう、いつものように噛み砕いて説明してあげれば、また、ミオの知的探究心を満たすことができるかも知れない。
「そう。
「それがおもちゃのロケット花火になったの?」
「うーん、どうだろ? さっき親父が言ってた、どでかいロケット花火を打つ祭りの元になった可能性はあるけど、おもちゃにまで発展したかどうかは……」
「ミオくんが一番知りたいのはそこなんだろうが、昔の、
はるか昔の出来事に思いを馳せ、俺と親父が横並びで、視線を斜め上に向けながら顎をさすっていると、ミオがクスクスと笑い出した。
「あはは、お兄ちゃんとお祖父ちゃん、同じ動きしてるー」
「え!? あ、ついつい考え込む時のクセが出ちまった」
「義弘、お前、そういうところまでおれに似てしまったのか。やっぱり血は争えないな」
「『チワワ添えない』って何? ワンちゃんの事?」
無理もない話なんだが、ミオが聞き慣れない言葉を耳にすると、大体はこういう空耳に変換されてくるから面白い。
チワワといいゴールデン・レトリバーの時といい、予測の外から飛び出してくる、ミオの空耳や覚え間違いのセンスは、一般人に比べて図抜けているような気がするんだよな。
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