再会、そして(13)

「あっ。お兄ちゃん、レニィ君が来たみたいだよ」


「お、そうか。んじゃ迎えに行ってくるから、ミオはここで待っててな」


「はーい」


 俺は席を立ち、ロビーラウンジの入り口に向かう。


 確かに背格好の似た金髪の少年が二人、こちらの方へやって来ているな。


「あっ、柚月さーん!」


「やぁ。こっちだよー」


 近くまで来たあの二人の姿をよく見ると、背格好だけじゃなくて、顔までもそっくりなような気がするな?


 兄弟だから似ているのは普通にある事なんだろうけど、これは瓜二つというレベルではないのか。


 今しがた俺の名を呼んでくれた、カチューシャを付けた子がレニィ君だとして、もう一人のショートヘアな子がユニィ君? で合ってるよな?


「お待たせしました! ユニィがなかなかサウナから出てこなくって。……ほらユニィ、こちらが柚月義弘ゆづきよしひろさんだよ。ご挨拶して」


「初めまして! 如月ユニィです!」


 ショートヘアのユニィ君は、おしとやかなお兄ちゃんとは対照的なのか、とてもやんちゃで活発そうな印象だ。


 ただ、この子たち、声までそっくりなんだよな。


「初めまして、よろしくね。とりあえず席は取ってあるから、一緒に行こうか」


「はい!」


 席に戻るべく、二人に背中を向けていたので、今、どっちが返事をしたのか分からなかった。


 こりゃ、ご両親でも聞き分けが難しそうだな。


「ミオ、連れてきたよ」


「うん。いらっしゃーい」


「改めましてこんばんは、未央さん。お邪魔します」


「如月ユニィです、よろしくお願いします!」


「わぁ、二人ってすごく似てるんだねー」


 俺が心の中で思っていた事を、ミオがストレートに言葉にする。


 でも、この子たちを初めて見た人なら、やはり俺たちと同じ感想を抱くだろう。


「あはは、それ、よく言われるんです。僕たちはだから……」


「そうか、双子さんだったのかぁ。道理でそっくりだと思ったよ」


「でも、レニィってすっごく運動音痴なんですよ。今日のボール遊びでも」


「ユ、ユニィ、それはもういいでしょ」


 レニィ君が顔を真っ赤にしながら、ユニィ君の言葉をさえぎる。


「もう。ほんとにすみません、柚月さん。ユニィが加減を知らないものだから、あの時ボールが当たっちゃって」


「いやぁ、いいんだよ。あれがあったからこそ、こうして出会えたわけだからね」


「うんうん」


 俺の隣に席を移したミオも、笑顔でうなずく。


「ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです……」


 顔の前で両手のひらを合わせ、上目遣いで俺を見るレニィ君のその姿に、少しだけ胸がキュンとした。


 この子はこの子ですごく女性的だし、ミオとはまた違った魅力があってかわいいんだよなぁ。


 弟のユニィ君はまだ会ったばかりだが、薄手のタンクトップにホットパンツという、相当きわどい服装で来ているため、肌の露出がかなり目立つ。


 それに加えてこの女顔だから、おそらく見た目だけでは、男女の判別がつかないだろう。


 そして、俺の隣に座って足をパタパタさせているのは、爽やかなブルーのショートヘアを持つ、キュートな子猫系ショタっ娘のミオ。


 ……もう、うすうす自覚しつつはあるが、こんなに幼い男の子たちに囲まれ、キャッキャと賑わう姿を見て、一人でドキドキしている俺は、やっぱりショタコンなのかも知れない。



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