ミオとの出会い(2)

 俺とミオの意思が一致したこともあり、そこからはトントン拍子に話が進んだ。


 申し出をしてから里親に認定されるための研修を経て、無事に里親としての資格を認められた俺は、晴れてミオを二LDKの我がマンションへと迎え入れることができたのである。


「おはようミオ。よく眠れたかい?」


「うん!」


「そっか、そりゃよかった」


 そう言って俺はミオの頭を撫でる。


「でも、義弘お兄ちゃん」


「お兄ちゃんでいいよ」


「うん。お兄ちゃんはソファーで寝てて、体は痛くならないの?」


 ミオは体を起こした俺の隣に座って、見上げるように尋ねてきた。


「平気だよ。……でも、そろそろ新しいベッドをもう一つ買わなきゃだな」


「ねぇ、お兄ちゃん」


「何だい?」


「今あるベッドで、ボクと一緒に寝るんじゃだめ?」


「えっ。い、一緒に?」


「うん。ボク、一人じゃさみしいの」


 実を言うと、新しいベッド自体は必要ではなかった。今あるベッドは大人二人が寝てもまだ余裕がある大きなものを買っていたので、ミオと一緒に寝ることも不可能ではない。


 ただ、そうすることを今日まで俺自身がためらっていたのだ。


 ミオが男の子だということは頭では充分理解しているのだが、ミオの外見や声、服装、普段のしぐさなどを見ていると、どうしても女の子を意識してしまい、ついつい距離を取ってしまうのである。


 そういう事情もあって、今日まで、あまりまともな会話もできなかったのだ。


 世の中には〝男の娘〟という、限りなく女の子に近い男というジャンルがあるのだが、まだ十歳のミオはさしずめ自覚のない〝ショタっ娘〟という表現が妥当だろうか。


 そんなショタっ娘のミオと一緒のベッドに入ると、何らかの過ちを犯してしまいそうな気がして、それが怖かったのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る