義妹の友達がかなり俺に接して来るんですが俺は恋愛が嫌いです
アキノリ@pokkey11.1
序章 出会い
第1話 気になるんです
俺の苗字は谷川。
本名、谷川翔太(タニカワショウタ)と言う。
至って普通の凡人と言える県立高校二年生の凡人。
結局は凡人だ。
黒の短髪の.....顔立ち普通らしいが。
並み、運動音痴、中肉、身長170。
と、ハイスペックでもロースペックでも無い俺。
やはりただの高校生だ。
だけど、俺の周りは普通とはいえない。
先ず俺は.....恋愛音痴と言える。
音痴じゃ無いか。
正確には拒絶と言える。
俺は.....昔、好きだった女の子に裏切られてから臆病になったのだ。
その為.....女子を見ると.....恐怖に感じるのだ。
冷や汗が出る、そして体調不良になるなど。
俺は.....その恐怖を持ったまま過ごしていたのだが。
その中で両親が仕事のいざこざでズレて離婚してしまい。
親父に引き取られ、親父は半年後に再婚。
まぁそれは良いのだが、相手に連れ子が居て俺は驚愕した。
何故、驚愕するかと言われたら。
女の子が再婚相手の女性と一緒だったから。
俺は.....その流星(リュウセイ)という名の少女と母親の聡子(サトコ)さんと一緒に暮らす事になり。
手の掛からない流星は俺を素直に兄と認め、一緒に生活している。
しかし流星については.....女性恐怖で.....体調不良の原因として見て居て申し訳無いという気持ちも有った。
これは簡単に言うと恐怖と言える。
なんと言うかクラスメイトの女性で慣れて居た筈なのに。
はっきり言って、俺の.....昔の俺を裏切った女性に似ていた為に流星が怖い。
俺は.....流星と仲良くしたいのに、だ。
そんな流星は簡単に言えばハイスペック過ぎる。
泣きぼくろが目立つ、女神に例えれそうな美少女だ。
眉毛は細く、目も大きく。
長い黒髪がもう一つのチャームポイントかも知れない。
成績も優秀で.....何一つとして悪い点が無い。
そんな流星についてここ最近、知った。
流星もあまり.....俺を兄とは見ているが、苦手らしいのだ。
何故なら昔のイジメを受けていた時を思い出すという。
その為、男性恐怖症だと言う。
そんなこんなで俺達は恋愛感情も湧かないまま三年が過ぎて4月12日という日を過ごしていた。
だがその翌日の4月13日によって。
俺達の運命の歯車が回り始める。
火曜日の次の日の水曜日の事。
俺は驚愕した。
☆
「お兄ちゃん。今日は.....友達を呼ぶね」
「.....そうなのか?.....お前にもいい友人が居るんだな」
「うん。.....あ、でも変な事はしないでね」
するかよ、と苦笑いで呟く俺。
4月13日、始業式も始まって数日のこの日。
父さんは仕事、聡子さんも仕事。
何時もの日常の中、会話を流星とした。
俺はソファの横に漫画雑誌を置く。
しかし何だろうか。
流星に友達か。
とても良い事だとは思うが.....。
少し恐怖に怯えているな俺。
流星の友達という事は.....つまり女の子だろう。
だとするなら.....。
「.....お兄ちゃんには近付けないよ。大丈夫だから」
「ああ、有難うな」
「ふふっ」
嬉しそうに髪をなびかせて玄関まで行く、流星。
俺はそれを見送ってから漫画雑誌を読んだ。
そして五分ぐらいが経った頃だ。
玄関が開く音がした。
「ななちゃん!」
「りゅーちゃん!」
学校で会っている筈だが、そんな声がした。
そんなキャイキャイな声が聞こえる。
俺は.....それを聞きながら漫画雑誌を置く。
うむ、友達が来た様だ。
一応、来客だなとリビングのソファから起き上がって俺は腰掛ける様な感じになる。
声はどんどん近くなってくる。
「こっちだよ。ななちゃん」
「うん」
流星の友達が来るのは初めてじゃ無いだろうか。
しかし、友達.....か。
俺はあの中学時代を少し懐かしく思いながら。
離婚の影響の引越しの為に別れた親友達を思い出す。
今は友人は数少ないから。
と、思っていた時だ。
ガチャッ
「そっちじゃ無いよ?!ななちゃん」
「あ、ゴメン。.....ん?あれ?もしかして噂のお兄さんですか?」
凄まじい美少女が目の前に現れた。
八重歯が特徴的で、短髪の茶髪。
そして.....顔立ちは少し小麦色の肌をした、笑顔が似合う女の子。
とどめとして.....袖無しの服を着ていて良く似合っている。
身長が僅かながら高いな。
俺は青ざめてビクッとする。
「.....そ、そうだね」
「.....どうしたんですか?お兄さん?」
「.....い、いや.....」
間違いとは言え.....女の子か。
駄目だ、冷や汗が出る。
俺は.....ジトッとした手を感じながら。
ななちゃんと言える女の子を見ていた。
そのななちゃんは俺を見ながらパチクリする。
「.....うん?聞いていたよりカッコいいですね。お兄さん」
「.....あ、ああ」
「ななちゃん。ごめんね、お兄ちゃん.....その.....女性恐怖症だから.....行こう」
「.....え?そうなの?ますます興味が有る感じですね」
俺は冷や汗を拭いながら顔を背けた。
流石にこれ以上、女性を見るのは限界だ。
そう、思ったから。
すると、ななちゃんと言えるその女の子の手を流星が引っ張る。
「こっちだよ。ななちゃん。早く」
「.....ちょい待って」
「?.....どうしたの?」
流星の手を振り払ってから。
ななちゃんという女の子は俺を見てきた。
そてもジッと、だ。
それから突然ジトッとしている俺の手を握って.....首を傾げた。
何だ?
「.....うーん。お兄さんの顔、どっかで見た様な?」
「.....す、すまない。離してくれるか.....。汗で汚いし.....」
「.....いや。汗は気にならないですよ。それよりも.....うーん?」
いや.....えっと。
そんなに綺麗な顔で俺を見ないで欲しいのだが。
怖いんだ、とにかく。
俺はそう思って振り払った。
駄目だ、目眩がする。
「.....す、すまないが.....体調が悪くなる」
「.....あ、ご、ごめんなさいです。すいません。じゃあ、失礼します」
慌てた様に、我に返った様に。
ななちゃんと言う女の子は慌てて促され流星に付いて行った。
手を振って去って行く。
☆
しかし、それ以降も何故か俺に興味が有るのか。
リビングにちょくちょく顔を見せた。
何だコイツは。
「お兄さん」
「.....なんだまた君か。今度は何だ?」
「ジュース取りに来ました」
「.....」
俺は怖さで真正面のテレビを見ながら、答える。
二人して何をしているのだろうかと思ったりもするが.....。
何故、この子は頻繁に来るのだ。
俺は胃が痛い。
「お兄さん。流星と仲が良いんですよね?流星、家ではどんな感じですか?」
「割と.....普通とは言えるが.....」
「.....そうなんですね」
話が途切れた。
何だろうな、居心地が悪い.....。
その様に思って俺は.....コンビニでも行こうと立ち上がる。
そしてななちゃんと言う子に向いた。
「.....俺はコンビニ行ってくるから。ちょっと買い忘れた物が有るから」
「あ、じゃあ私も行きますよ」
「君は流星の元に戻って良いよ。.....俺は.....一人が良い」
「でも.....」
俺は?を浮かべて、背後を見る。
ななちゃんは八重歯を見せながら柔和に笑んでいた。
俺は.....その笑顔を見つめる。
「.....私、お兄さんの事.....結構気になります」
「.....有難う。その気かもしれないが俺はその気にならないから」
「.....じゃあ私は.....何とかしてお兄さんを振り向かせます」
「.....その.....何故、そこまで?」
えっと、と言うななちゃん。
何故って言われたらちょっと分からないんです。
でもその.....何だか放って置けない気がするんです。
と、ななちゃんは言って舌を出してテヘヘと言う。
「.....ただ、それだけです」
「.....君は良い子だね。.....他の良い人を探しな。君ならモテる」
そう告げて、俺は玄関から表に出た。
そしてコンビニまで歩いて行く。
後ろを見たが、ななちゃんはついて来て無かった。
安心しながら俺はコンビニに入る。
『貴方の事が.....何と無く放って置けないんです』
優しいな、彼女は。
と少しだけ.....その言葉を思い出しながら。
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