第28話

 「どのツラ下げて私にそんなことが言えるの?」


 「俺は反省しているし、お前の希望も叶えたんだから罪滅ぼしは終わったんだよ。だからもう・・・」

 

 私は夫の戯言を遮るように叫んだ。

 

 「許さない。許さないし絶対忘れないから‼」

  

 娘に聞こえるかもしれないくらいの大声で叫んだ。明日の朝、何を話していたのか問われるかもしれないが、それでもよかった。今は私の想いをはっきり夫に伝えたかった。


 「あなたまだ自分が悪いと思っていないでしょ?私に責められて自分のこと被害者だか何かだと勘違いしてるんじゃないの?」


 夫はこちらを見ずに無言でスイッチの入っていないテレビの画面を見つめている。真っ暗なテレビの画面には私には見えない何かが映っているのだろうか。首の骨を折る勢いで顔をこちらに向けさせて私の言葉を意地でも受け止めさせてやりたい衝動に駆られる。


 

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