第14話
侵入してくるあまりにも濃い血の臭い。
そしてあのおぞましい老婆が乗ってきました。
老婆はいつものようにしばらく後方に目をやると、いつもの席に座りました。
つまり見知らぬ女子高生の真後ろの席です。
女子高生は全く反応しませんでした。
これほどまでに鼻を突く血の嫌な臭いがたちこめ、すぐ後ろにこの世のものではない老婆が座ったというのに、女子高生は目を覚まさなかったのです。
そして次のバス停、その次のバス停でバスは停車しました。
そこは老婆がいつもバスを降りる停留所。
老婆が階段を一歩降りる度に、臓物が段に落ちてべちゃべちゃと音をたてているところです。
扉が開きました。
しかし老婆は動きません。
私が固唾をごくりと飲み込みながら二人を見ていると、突然老婆が甲高い声で笑いだしました。
「いいいいいっひいひいひいひいひぃ」
頭を垂れていた女子高生がびくんと起き、振り返りました。
老婆を見、大きく目を見開き、そして一瞬の間の後、声を限りに叫びました。
「きゃああああああああああああっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます