第7話
ほどなくしてバスは山を下り、平坦ではあるものの、舗装のされていない細い道を進み始めました。
その先のバス停で、三人の乗客は三人とも申し合わせたかのように、無言でバスを降りてゆきました。
そこは一応平地ではあるものの、家とかいった建造物はおろか、田畑といった人の手が加えられているものも一切見当たらない、月明かりがなければ真っ暗なところでした。
バスはしばらくすると走り出し、小さな集落にたどり着きました。
どうやらここが終点のようです。
私は接客業に向いているとはとても思えない、痩せて目つき顔つきがやけに鋭い運転手に尋ねました。
「上りのバスはありますか?」
運転手は私をぎろりと見ると、ただでさえ近寄りがたい顔つきを更に険しくし、聞き取れないほどの小さな声で何かぶつぶつと呟くと、時刻表を面倒くさそうに指差しました。
私は時刻表を見ました。
どうやら今から二十分後に上りのバスが出発するようです。
しかし周りを見渡しても、バスは私が乗ってきたこの一台しかありません。
――このバスで行くのかしら?
そうでした。
バスは時刻通りに走り出しました。
気付けば降りるべきバス停が迫っていました。
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