第2話 二

 一般の人が「クセ」と聞いても、ピンとは来ないかもしれない。

 しかし三木は高校野球の選手だ。「クセ」と聞いた瞬間、三木はすぐに野球のプレー上のものであることを連想した。

 『俺に―、クセがある?どんな?』

 三木がそのメッセージを見た瞬間、三木の意識は完全にそのメッセージに持っていかれた。

 そして三木の下に2通目のメッセージが送られてくる。

 

 《あんた、まっすぐと変化球の待ち方に違いがあるよね。

 相手ピッチャーがこれ知ったら、一発でどっちを投げればいいか分かるよ。

 するとあんた、困るよなあ~。》


 『待ち方に―、クセがある!?』

 三木はいわゆる、ヤマをはるタイプのバッターではない。もちろんバッターの中には、「次に来るのはストレート」、「次は絶対に変化球が来る」など、配球を予想するタイプの人間もいる。しかし三木はどちらかというと来た球にうまく順応するタイプなので、「どちらか一方を待つ」ことは基本的にはしない。

―しないのだが、「配球に関わらずどんな球でもヒットにできるか?」と訊かれれば、100%そうとも言い切れない三木もいる。

 『確かに俺、配球が何となく読める時もあるな―。

 ってことはその時にクセが出ている?』

 そこで三木ははたと気づきそのメッセージのアカウントをたどろうとするが―、

 『えっ!?アカウントが削除されている?

 じゃあ送り主は分からない?』

 これならもっと早く、メッセージが届いた直後にアカウントだけでも確認しておくべきだった、三木はそう思うがそれは後の祭りである。

 『これって―、脅迫だよな?

 ってことは警察に相談した方がいいかも―。』

 三木はそう思い後日警察に行こうと考えた。そしてその日は眠りにつこうとしたが、―やはりクセの件が気になって全く眠れない。

 結局三木はその日は一睡もできず、次の朝を迎えた。

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