不惑前にして異能バトルに巻き込まれてしまったんですが。
牧野 麻也
起章
第1話 悪夢を見てるようなんですが。
これは悪夢か幻か。
それとも、システム障害対応で十六連勤と連日連夜の深夜対応(睡眠時間平均三時間)でとうとう脳の方にも障害出ちゃったのか。
私の左手の中には──日本刀。
一般市民が普通持ち得ない、古めかしくも鋭さを失っていない真っ黒な刀身が、
太陽の光をギラリと反射──してんじゃねェよコンチキショウ。何だこれ?
鞘に収まってないその日本刀を片手にした私は──麗らかな秋晴れのお昼頃に、日曜日の少しの
何、この、違和感しかない状況。
今は、隣の国と外交問題は大小起きてたって一般市民には遠い話な天下泰平の日本やぞ?
小学校からプログラミング授業があるぐらいの普通のデジタル社会やぞ?
何、この、数千人は
鉄の分際でこの黒さの由来はなんだよ。血でも吸いすぎて限界突破した色なんか?
そして、そんな
ハタから見たら無差別殺人犯の
職質省略OKの待ったナシ逮捕案件じゃね??
やめて。
私、新宿品川新橋丸の内辺りで石投げたら当たるぐらい、ありふれた普通の疲れたOLだから。
最近ファンデのノリも悪くてBBクリームじゃないと色んなシミソバカスが隠せないし、白髪もチラホラ目立ち始めてブリーチじゃなくヘアカラーに変えたという
久しぶりに何もない日曜日に、昨日から感じてた体の不調を調べに病院に行こうとしてたトコだから!
無差別殺人やりに行くワケじゃないから!!
「なにコレェッ?!」
あまりの衝撃にギュウギュウに締まっていた声帯が緩んでやっと絞り出せた声は、裏っ返ってカスれてた。
そんな日々に疲れた底辺企業戦士の私の声が、
「それは至宝よ。アンタなんかが持ってちゃダメなものなの。
返しなさいよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます