ひと夏の螢へ

たなべゆいー!

プロローグ 

 人には寿命がある。

 ”心臓には、トータルの心拍数が決まっている。”

 よく聞く話だ。

 ”神を信じた者が救われる。”

 そんなことも、あるかもしれないな。


 僕は、人間の寿命はによって決まると思っている。もちろん、ホタルではないし、人間は通常光らない。僕が言うは、人間のに近いかもしれない。思わず惹かれてしまうような魅力を持つ人は、目に見えない光を他の人より多く出している。しかし、心拍数が決まっているように、人間が一生に放てる光度も決まっているのだ。輝く人ほど短い命を持つ。「なんであんないい子が死んでしまうのに、あのクソ親父は長生きするの。」誰かがそう言った。それはつまり、人間の寿命は光度に操られているからだ。


 あの短すぎる夏が、僕にそう教えてくれた。

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