第8話職業について1

▷???サイド


「皇帝様、白狐の夫婦につけていた者から報告書が上がっております。」


そう言ったのは立派な黒ひげと黒髪、それから赤い目を持った紳士風の男性だった。


「ほう、どれだ。」


それに反応したのは若い男性。こちらも立派な黒ひげと髪を持っている。

ただ、その威圧感や威厳といったものは段違いであり、一目見ただけでも気の弱い者は震え、竦み上がってしまうだろう。


「こちらでございます。」


そう言いながら紳士風の男が一つの紙束をさしだし、皇帝と呼ばれた男がそれを読み進めてゆく。


「ほう、彼らの息子は転生者であったか。」


「は、何か特殊な知識を持っているやもしれませぬ。」


「さらには、面白いスキルも持っているようだな。是非ともこいつはてにいれあいものだ。」


ひげをさすり、暗く笑いながらそう口にする。


「はい、白天狐人の先天的な能力の高さと寿命に加え、成長促進系のスキル。さらには成長限界がない。これはとても良いができるでしょう。」


「そうだな... このまま監視は続けさせろ。こっちで適任者を探しておこう。」


「はっ、ではそのように指示を飛ばしておきましょう。」


「いつも助かっているぞ。では下がって良い。」


「もったいなきお言葉です。」


そう言いながら紳士風の男はさってゆき、その広き部屋には皇帝と呼ばれた男が一人くつくつと笑っているだけとなった。


─────────────────────────────────────────


▷シャルスサイド


昨晩の親達のささやかな飲み会から一夜明けた。

昨晩の飲み会では両親とダルスさんの思い出話を聞けてとても楽しかったが、途中で寝てしまった。くそぉぅ、赤子であるこの身が恨めしい。


その話の内容というと、どうやら3人は昔、冒険者としてパーティーを組んで共に戦っていたそうでその話であった。


「おはよう、シャルス。夕べは遅くまで話し込んでしまってごめんなさいね。」


母は申し訳なさそうにそう言うが俺としてはとても楽しかったのでその意を伝えようとする。


「あいようふ。たのひかっあよ。」


うーん、こういう所も不便なんだよなぁ。


「こう言ってることだし、大丈夫だろう。父さんたちのお話、楽しかったもんなー。」


父はそう言うが赤ちゃんに夜更かしはよろしくない。もうちょい反省しろ。ということで軽く足をペシペシと叩く。


「おやおや、微笑ましい光景ですね。私も結婚はしているのですが、子宝に恵まれず...。うらやましい限りです。」


羨ましいと言いつつもその表情はニコニコとしている。

やはり、この人はよい人なのだろう。

そこから俺達は食事を取りゆっくりとしていたところで父が喋り出した。


「さて、シャルスが転生者だってわかったなら、祝福は早めにしておいてもいいんじゃないか? シャネル、確かスキルを持っていただろう?」


祝福ってなんだ?


「あぅ?」


「ええ、祝福のスキルなら持っているわよ。シャルス、祝福がわからないの?」


「あぅ。」


俺はその通りだったのでコクコクとうなづきながらそう返す。


「そうねぇ、ステータスに職業とSKPって項目を増やすのだけれど、実際にやってから見てもらったほうが速いかしら。」


「そうだな、その方がいいだろう。」


両親がそう言うのならばそうなんだろう。了承の意を込めてコクンとうなづく。


「じゃ、さっそく始めるわね。『スキル[祝福]を起動。対象〈シャルス〉』」


母は俺に手を向けつつそう唱えた。その瞬間俺の周りを優しい白い光が舞い、静かに消えていった。ほんの短い間ではあったが、その光の粒が舞い踊る様子は母の容姿ともあわさりとても神秘的な物であった。


「さて、これでステータスに項目が増えたはずよ。みてごらん?」


その言葉で俺はハッとし、ステータスと心の内で唱える。そしてそこには...


[名前]シャルス

[種族]白天狐人(獣人・妖狐)

[性別]男  [年齢]0歳

[職業]選択可能です(new)

[ステータス]

  HP13/13  MP18/18  SP9/9

  STR:10 DEF:5 MDEF:5 DEX:7 AGI:9 INT:13 MID:6 LUK:10

  SKP:4(4up)

[ノーマルスキル]

  剣闘の頂きLv.10  魔力操作Lv.3  魔力感知Lv.3  雷魔術Lv.1

  光魔術Lv.3  鑑定Lv.2  隠蔽Lv.3  獣王国言語Lv.10  気配察知Lv.2

[エクストラスキル]

  転移門Lv.1  空間庫Lv.1

[ユニークスキル]

  探求を止めぬ者

[種族スキル]

  五感強化Lv.2  妖術・火Lv.1  妖術・雷Lv.1  妖術・光Lv.1

  魔適正・火   魔適正・雷   魔適正・光

[称号]

  転生者  転生神の加護


俺は職業の選択可能の文字を押す。


以下の職業からお選び下さい。後から変更も可能です。

  剣士Lv.1  拳士Lv.1  魔術士Lv.1  妖術士Lv.1


「お、無事に終ったみたいだな。その顔は職業について教えて欲しいってところか。とりあえず鑑定で一つづつ見てみろ。」


言われた通り見ていく


剣士···剣を扱い戦う職業。第1次職

拳士···自信の肉体、特に拳を扱い戦う職業。第1次職。

魔術士···魔術を扱い戦う職業。第1次職。

妖術士···妖術を扱い戦う職業。第1次職。


うん、なんとなくイメージはつくがわからん。てかそのまんまじゃん!

これは俺の鑑定スキルのレベルの低さのせいか?

困った俺はもう一度父を見ようとしたが...

説明ならもっと適切そうな人がいたなと思い、ジュランさんの方を見る。


「私...ですか?」


少々意外そうな顔をしつつも自分のことを指さすジュランさん。因みに父は俺じゃダメなのかと落ち込み、母はその様子を見てクスクスと笑っている。

俺はジュランさんの言葉にうなづく。


「分かりました。では私から説明しましょう。」

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