金魚鉢
風邪をひいて重力に気づく。なんだか君、軽くなったね。腕に力が入らないぼくの身体は、酸素を求めて布団から顔を出している。口をパクパクさせて、金魚の夢を見る。
お元気ですか。
そう言って金魚鉢に餌を振りまく朝、いつもより体温の長く残ったベッドに、いつもより人間の匂いが染み付いた。
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