小瓶の中には

帳 華乃

海の水、サラサラと

 海の中では生物の死体が溶けて砂になっていた。

 砂は海にもう溶けていた。

 死を濃縮させたような、海の水。


 海水に私が触れると記憶がなだれ込んでくる。

 海の記憶はまるで濁流のように押し寄せてきた。


 『触れた物の記憶がわかる能力』


 いつか。

 私はプランクトンになって、海で生きるのだ。


    『自分は海に帰るべきなのだ』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る